（橋口亮輔監督の舞台挨拶後に）
姜尚中だったか、「希望は絶望の先にあるはずなのに、今の日本では希望しか見ようしない。明るい話題だけを見せようとする人たちと、明るい話題だけを見ようとする人たちばかりだ」なんてことを言ってたような。それを思い出した。
冒頭からひたすら「絶望」を見せつけられる。でも、これがリアルなんだろうなと。
妻を殺されて生きる意味を見出せない男が、オリンピックなんてどうでもいいんだと叫ぶ。雅子さまに憧れを抱きつづける女は、奴隷のように地味な生活を送っている…
社会の歪みを描き出したいという監督の強い思いを感じる。
その中で、最後にかすかな「希望」が見える。それはいい。でも、展開が拙速だったのではないかと。もう少しゆっくり描いてもよかったのではと。僕にはそう思えた。
それでも、橋口亮輔は「ハッシュ！」以来、大好きな映画監督。「マイノリティ」とされる人たちへの温かいまなざしを感じる。本当に優しい人なんだろうなと思う。
それにしても…「滝を見にいく」でも思ったが、黒田大輔はホントに素晴らしい！
