菩薩

恋人たちの菩薩のレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
1.0
いい予感と悪い予感と、はっきり言って後者の方が強いまま臨んだのが悪かったのかなんなのか…。

キャラ設定の時点である程度予想はしていたんですが、それでも何かそれを上回る感動があるかと思ったんですが、なんもありませんでした。アリアガみたいに三本の筋が一本に集約してくわけでもないし。とりあえずこの映画が新しく何かを訴えているかと言えばそうでも無いと思うし、心に響くような演出・台詞も特に無かったし、全体的に無責任のままで終わっちゃったなと言った感じ。めちゃくちゃ浅い。こんなんで絶望なんて言葉を容易く使わないで欲しい。特に主婦と弁護士。

時折ある種のショッキング映像が挿入されるけど、かと言ってそのシーンが必要かと言えばそうでも無いし、ただ不快なだけ。あの流れの中でババァの乳首いたぶる必要も、野ションする必要も無いでしょ。そりゃ喜劇より悲劇の方が作るの簡単でしょうけど、それにしても…。終わり方までスベってる。一眼買った女子に延々と飼ってる犬と道端の花とカプチーノの写真を見せ続けられてる感覚。生き辛さなんてみんな多少なりとも抱えてるでしょ。可哀想な人なんてゴロゴロいるよそりゃ。落とすならもっと落とせば良いと思うし、中途半端すぎてイライラするだけだった。若手インディーズならまだしも、ベテランメジャー監督、しかも助成金付きの作品とは思えない。ザ・ノンフィクション観てる方がまだ面白い。リアルなふりだけしてどこもリアルじゃない。

裁判したいならすればいい。それで負けて更に生活苦しくなればいい。告白したいならすればいい。それでフラれて表面上の友情すら失えばいい。悪い男に騙されるなら騙されればいい。それで自分の人生も引きづられて破滅すればいい。そこまで行ってはじめて絶望なんじゃないの?気持ちを吐露したくらいで(しかも独り言で)解決する悩みなんて単なる愚痴でしかない。そんなんで解決しないから生き苦しいんでしょうが。観たかったのは絶望から希望へ這い上がる姿であって、かまってちゃんの無い物ねだりではない。人間本気で絶望したら、飯も食えないし笑えもしないんだよ。何がふえるわかめちゃんだ。あんなの300円くらいするくせに腹も膨れんだろ。もやし食えもやし。しかもカロリーも低いくせになんで小太りなんだ。つかなんでオリンピックの関係の受注がある位の会社に勤めていながら社会保険にすら入ってないんだ?暗にブラック企業をディスっとんのか?それとも単にバイトなのか?そんなやつに大事な棟梁点検なんて任していいのか?全くもってこの映画の良さは分からない。

とまぁ、私の意見は九割僻みみたいなものですから、劇場にはすすり泣きが響いてたし、たぶん面白いんでしょうね…。『百円の恋』とか『0.5ミリ』とか好きな人は好きそうだなと思いますが、個人的には『明日、君がいない』とか『39 刑法第三十九条』、『トウキョウソナタ』の方を推します。

とりあえず、青空に特別な青空なんて物は無いと思うよ、晴れてるだけで。青空・夕焼け信仰はよく分からない。こういう作品を好きって言えないと寂しい奴扱いされるけど、そっちの方がよっぽど生き辛いよ。この程度で絶望としてしまえる日本は本当に幸せな国だと思う。
菩薩

菩薩