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恋人たちのamokのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
3.5
自分が感じている不条理なんか、世の中全体で見ればほんの些細な事なのかもしれない。
そう思える程、この映画の中には不条理が溢れていた。
非正規雇用だって、マジメに働いている人たちはたくさんいる。そういう人たちの中には、働いても働いても収入が少なく、ギリギリの生活を余儀なくされている人たちもいるのだろう。結果、保険料を払う事ができない事もある。いくら義務とはいえ、その事で周りからどうしようもない奴だと後ろ指さされることもある。マジメに働いているのに…
民主主義とは言え結局、一部の偉い人が決めたルールに弱者は搾取され、厳しい生活を余儀なくされてしまう世の中なのかもしれない。
頭のいい奴は、上手くこのルールを攻略し、甘い蜜にありつくのだろう。
そう、結局人は自分の事しか考えていない(という人たちが大多数?)。自分の事を話すのが大好きで、勝手に周りも自分と同じ事を感じているのだと思っていて、共感されると急に親近感が湧いて、否定されれば怒りさえ込み上げてくる。だから、自分勝手な解釈で一喜一憂する。そして、そんな人間の特性を利用して詐欺が蔓延る。周りから見聞きしている分には、なんてバカなんだろうと思うだろうけど、当事者になってみると案外簡単に騙されてしまうものなのかもしれない。
だって、人間だもの
他人の話なんか興味がなくて、全く聞いていない。隙さえあれば、自分の事を話しだす始末。
嗚呼、それが今現代に生きる人間なのか…と、この映画を観ると思ってしまう。
だがしかし、そんな自分勝手な人ばかりではない。心から心配してくれる人がいる。連絡なく会社を休んだら、弁当持って様子を見に来てくれる。気の利いた言葉をかけてくれるわけじゃないけど、ちゃんと話を聞いてくれる。辛い時に側にいてくれる。
それだけでいい。
ちゃんと自分と向き合ってくれる人がいるんだと思えるだけで、嬉しくて頑張れるんだと思う。
ただそれだけでいい。
観終わった後、不思議と心が晴れたような気がした。
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