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恋人たちのcyphのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.4
実家つらい映画メイトに長らく薦められててようやっと観た 実家の、市井の人々の生活の嫌な部分の煮詰めようが圧巻 みんな白色灯で夜を過ごしすぎだし使い古しのラップが壁に貼られてる家でセーフセックスをしたくなさすぎ 最近行った実家みたいなスナックで出てきた実家でしか見ないおしぼりもちゃんと登場してて抜かりなかった

実家感だけでなく、異性慣れしてない不美人が経験不足とテンパりが故に妙にメスっぽいはしゃいだ喋り方しかできないときの感じも繰り返し出てきてすごかった 弁当屋のパートの主婦たちの生っぽさもすごい 勝負服がそれっていうリアルさも一体全体どこで出てくるアイデアなんだ 人生の序盤で嫌というほど浴びせられるアレルゲンがいっぱい出てきて目鼻がしばしばした

映画としてはとにかく役者3人の演技、生っぽさ 当て書きですか?て思いながら観たけど案の定ワークショップ兼オーディション経由の当て書きとのこと 篠原篤さん、33歳無名俳優とのことで橋口監督に公の場で繰り返し「こいつは本当にだめだめでね」といじられ?ていてそのときの佇まいが作中のアツシそのままでかわいいしつらかった 撮影終了後も役が抜けなくて半年くらいお布団にこもって生活していたそう 役もビジュアルも完全にわたしの性癖ど真ん中ストレートだったのでずっとたまらない気持ちだった 福岡弁も軽率に最高 「おれ馬鹿やけん」と繰り返し嘯いては笑う福岡の先輩たちを思い出す「もうよかて思ってシャブば買ったらカルキやったよ」「後ろから見てたら馬鹿みたいやったけど、きれいやねと思って」←号泣 橋の点検という仕事もいい

人間や世界について悲観しすぎ、みたいな感想をあちこちで見たけど見た目100億点な篠原篤を起用したり独白のシーンを不自然なくらい丁寧に入れ込んだりとこぶしが効いていてとても見やすく暗部を描いていてありがたいな〜と思った ぐるりのこと。について当時嫌すぎてうんざりしちゃった記憶あるけどそれよりは大衆向けになってる気がする 歳取って丸くなったのかな 「ヨシ」のだささがそれらを象徴してると感じた
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