昨年最も邦画で評価が高かった一作。
観る前の期待値とハードルは当然高くなる。
上映時間のほとんどが辛い時間だった。
アツシ、君の苦悩は分かるよ、
アツシ、がんばれ!
なんて、安易な言葉かけはできないくらいに、彼の苦しみが続く。
言葉をかけてあげたいけど、かけてはいけないではないだろうかと観客も躊躇してしまう。
唯一、「アツシ!それだけは止めろ!」とは叫んどしまったけど。
この苦しみ、どこかで経験したと思ってたら、「シークレットサンシャイン」だった。
あの映画にはソンガンホが命がけの天使になってくれていたが、ここにも天使が現れる。
天使が彼の近くにいてくれて、本当に良かった。「食べなよ」「○○しちゃダメだよ」とつとつとした天使の言葉が心に染み込んでくる。
しかし、私が一番、心打たれたシーンは、劇中一番嫌な奴として描かれる男のある行為だった。
彼だって、抱えながら生きてきたし、これからも抱えて生きていくんだっていう、ひとり行為は哀しく、優しい。
橋口監督の伝えたかったことを十分つかんだかというと自信はない。
・なぜ題名が「恋人たち」なのか。
・主婦のパートは有効だったか。
・なぜ、エピソードは独立して、交わらなかったか。
皆さんのご意見も聞きたいところです。
いずれにせよ、後世に残る名作だと思います。