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キートンの線路工夫のTnTのレビュー・感想・評価

キートンの線路工夫(1965年製作の映画)
3.6
老いたキートンがトロッコで太平洋を目指す。カラーフィルムなのに音はサイレント時代を思わせるつくりで、キートンへのリスペクトが感じられる。カナダの鉄道会社が制作している。また、キートンと鉄道といえば、「キートンの大列車追跡」を少し思わせるところがある。彼の喜劇は基本行ったり来たりなのだ。

トロッコで旅をするだけで、しかもトロッコから下りることはほとんどない。それでいてこのドラマ性はすごい。もちろん初期の動きのあるキートンの姿には劣るが、トロッコで動かずとも物語ができてしまうことに驚いた。むしろ変わっていく景色の中静止して座ったりしている姿がシュールで面白い。トロッコを遠景から撮影するシーンが唐突に入るのだが、そのシュールさ(しかも遠景になった途端BGMが消えたりする)。また、トロッコの爆速具合が笑えた。

キートンが老いて、様々な景色を目にしていく様は、まるで人生を物語っているようにも思えた。
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