アキヒロ

仁義なき戦いのアキヒロのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い(1973年製作の映画)
4.7
「盃がないけん。これで切って血ぃ啜ろうや」

やっぱ映画はこうでなくっちゃ!!
この時代じゃ考えられんくらいテンポいい。今のZ世代が見ても飽きる瞬間が一切ないんじゃないか、っていうくらい無駄が全部カットされていて、前半とか5分に1回乱闘あるイメージ。
しかも、物語も動く動く。土居組との抗争があったと思ったら、広能が刑務所に入って、その間に山守組内での争いが勃発…
ある程度、事実を元にして作っているけど、さすがの脚本力に舌を巻く。

「てっちゃん、わしのことも信用できんようになったんか」
山守組長と坂井鉄也の対立に関しても、
坂井暗殺を頼まれても広能のピュアさが出ている。
無垢こそが最強。菅原文太のまっすぐな甘いマスクと、睨んだだけで人を殺しそうな鋭い眼光のギャップも素晴らしい。

「山守さん、弾はまだ残っとるがよ」
最後、広能は坂井の葬儀で、花を送ってきた敵対勢力の板や香典を拳銃で全て撃ちぬく。
これは結局、「坂井は俺が殺すはずだった」という意味と「坂井の死を喜んで(安心して)花を送っている勢力のメンツを潰す(つまり死を弔っているわけではなく喜んでいる奴らに一杯食わせる)」という意味を感じた。
広能の拳銃に残っているものは、弾という名の反抗心に思えてならない。
アキヒロ

アキヒロ