なべ

特捜部Q 檻の中の女のなべのレビュー・感想・評価

特捜部Q 檻の中の女(2013年製作の映画)
3.6
 U-NEXTでしか無料配信されてなくて、シリーズで唯一観てなかった第一作目。絶えず周囲との軋轢を生みながらゴリゴリと我を押し通すカールと、バランス感覚に優れ心優しいアサドがそれぞれに、ただの資料室を特捜部に押し上げていく様がよくわかるエピソード1。
 キジ殺し、Pからのメッセージ、カルテ64と回を追うごとにおもしろくなったから、一作目はさぞつまらないんだろうとタカを括ってたんだけどさにあらず。ああそういうことか。シリーズの一作目ってその後の流れを決定づける大事な作品だとつくづく思い知ったわ。
 特捜部Qの成り立ち、カールが抱えてるもの、アサドが掴んだチャンス…それだけでもおもしろい。どれも知ってるのと知らないのとでは、続編の見え方が大きく違ってくるネタだったよ。これは最初に観たかったなあ。

 その後の2人を知ってるだけに、お互いうまくコミュニケーションが取れない(今も取れてるとは言い難いが)カールとアサドのやりとりをニヤニヤしながら観た。捜査の進展具合に比例して2人の距離も縮まっていく感じがいい。自殺したと思われているミレーデの生存を早めに見せたのもよかった。過去の事件にタイムリミットがあるとわかるからね。
 
 事件の猟奇性もキジ殺しやPからのメッセージよりショッキングで好きだ(クリミナルマインドでも同じような事件があったような気がする)。特捜部Qの方向性を決めるいい犯罪だと思う。いい犯罪て!
 終盤明らかになる犯人の動機が痛々しくて、回想シーンで思わずあっ!と声を上げてしまった。これは復讐されてもモンク言えないな。だからこそ、死の記念日を告げられた時、初めて後悔する過去に犯した罪の大きさと、もう助からないとわかったミレーデの絶望がはかり知れない。このねちっこい北欧の復讐感覚は大好きだ。
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