爆裂BOX

アメリカン・ドクターXの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

アメリカン・ドクターX(2012年製作の映画)
3.9
優秀だが貧しい医学生メアリーは、携帯代も払えない生活苦。仕方なくストリッパーの面接に向った先で、突然出た怪我人の処置を医学生という理由で頼まれた彼女は腕を振るうが…というストーリー。
アングラな整形外科手術に手を染めていく美人医学生の姿を描いたサスペンススリラーです。某ドラマに思いっきり乗っかった邦題ですが、当然微塵も関係ありません。
ショックを受けながらも手術を成功させるメアリーだが、信頼している教授にパーティでレイプされる。アングラな世界とのつながりを活かして教授を拉致して復讐したメアリーは、退学し、アングラな世界で肉体改造を臨む者たちに手術を施す腕利きの整形外科医として名を馳せていく、という内容です。
ジャケなどではレイプリベンジ物を謳ってますが、それ自体はとっかかりに過ぎず、ふとしたきっかけでアンダーグラウンドな人体改造の世界に迷い込んだ主人公がそこで自分の居場所を見出し、成長していくサクセスストーリーの趣が強いですね。
主人公メアリーは見かけは派手だけど真面目ない学生ですが、携帯代も払えない程困窮して仕方なく受けたストリッパーの面接で急遽怪我人の治療を頼まれ、そこから違法な人体改造を臨む患者の手術頼まれたりします。それでも真面目に実習しながら表世界に踏みとどまっていたのが、彼女を体を売る女だと思い込んだ教授にレイプされて復讐した所から表世界からアングラな裏世界に飛び込んで、そこで闇の整形外科医として成功していきます。最初は初めてアンダーグラウンドな世界に触れて、シャワー浴びながら泣いたりバット手放せなくなっていたのが、人体改造の手術経験して、レイプされてもアングラな世界の伝手利用してすぐに復讐に乗り出したり強さと度胸身に着けていきます。演じるのは「フレディVSジェイソン」や「人造人間13号」に出ていたキャサリン・イザベルですが、美人でスタイルも良く、特にジャケのレザースーツみたいな手術着着たところ良かったですね。真面目な医学生から、アングラ世界で自信たっぷりな闇の整形外科医へと成長していく姿も見事に演じていたと思います。終盤で彼女がトイレに現れたらストリッパーたちが慌てて出て行ったり、一目置かれる存在になったんだと感じさせる描写も良かったです。
教授への復讐シーンやスプリットタンや額に悪魔みたいな角生やしたり、乳首取ったりアソコを閉じる人体改造シーンはサラッと描かれていてグロさはそんなに感じないものになっています。倉庫で監禁された教授の姿もそんなにグロさは感じなかったな。まあ、クソ野郎でしたしね。
メアリーの元を訪れる人体改造臨む者達など登場キャラも濃い人揃ってますね。一番最初にメアリーに接触してきたリアルベティちゃんなベアトリアスは最初こそその容姿にギョッとしたけど、空気読めない感zにはありつつもいい人でしたな。それだけに最後気の毒な事に…彼女死んじゃったのか?ストリッパーの面接時に出会った店長ビリーもろくでなしなんだろうけど、メアリーに恋心を抱いてメアリーの為に行動したりするけど、そこらへん甘ったるく描いてないのも良かった。メアリーもビリーにフェ〇してたストリッパー殺そうとしたり愛情は感じてたのだろうな。イカツイ大男でメアリーの部下になるランスも自分の経験交えながらメアリーに優しい言葉かける所も良かったですね。
メアリーに手術依頼する双子役で監督のソスカ姉妹も出演しています。
メアリーが冷酷に人殺したりしながらも、唯一の家族っぽい祖母の死を知って悲しみに沈んだり、教授の件で接触してきた刑事に薬入りの酒振舞おうとするけど、彼女を被害者と言い、寄り添う発言聞いて辞めたり、ビリーに近づいた女に嫉妬から殺そうとしたり、普通の女性っぽい所あるのが良いですね。彼女は自分を認めて頼ってくれて自分の才能発揮できる場所を見つけてそこでただ生きてただけなんだよな。元々真面目で有能だったし、あのクズな教授たちと出会わなければ違った人生もあったのかな。
ラストは意外な急展開でしたが、血にまみれながら自らの傷を縫うメアリーの姿と、ラストの姿も何とも言えない切なさと哀しさに満ちていて印象的でした。「人と違う事を恐れてはいけない。何よりも大事なのは、自分の理想の身体を実現させること。そしてそれを愛せること」と患者に語った言葉通り、自分はイカレタのかと悩みながらもただただ自分らしく生きたんだな。
グロさや怖さはほぼないですが、人体改造のアングラな世界と、そこで生きる主人公の悲しきサクセスストーリーに引き込まれて最後まで楽しめました。