ぐだぐだ

ビューティー・インサイドのぐだぐだのレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
1.8
うわーーモヤモヤが止まらない!

主人公の男は、毎日目覚めると青年だったりおばあさんだったり8歳くらいの男の子だったり小太りのおじさんだったり、日替わりで容姿が変わってしまう病にかかっている。
ある日初めて1人の女性に恋してしまうが…というあらすじ。
こうなったらもちろん、愛していれば見た目は乗り越えられるっていう映画を期待してた。

でもこの映画、注意深く見ると真逆の思想をビシバシ感じる。
ヒロインに告白する前は主人公の外見変化の振れ幅が大きかったのに、ヒロインと恋人になってからはものすごいデブとかおじいちゃんとかハゲ散らかした髭面のおっさんとかに変身することがなくなる。
イケメン→一般的な女性→子ども→清潔感のあるおじさん→違う雰囲気のイケメンみたいに、平均〜美形のなかで姿が変わっていく。
しかも美女ヒロインが主人公と手を繋ぐ・キスをするなどのラブシーンがあるのは、主人公もイケメンになってる間だけ。
清潔感のあるおじさんくらいだと友達程度の距離感が巧妙に保たれている。
これって、美女の周りに「いても許される」人の外見ガイドみたいで、むしろ外見格差を浮き彫りにしてない?
「"標準以上の見た目の人なら"、ビューティーインサイド」ってタイトルだっけ??!

良かった点もあって、まず着想が面白いし、ヒロインと出会ってから付き合うまでの展開は期待通り切なくてキュンとしたし、毎日違う見た目の相手を愛することになったヒロインが精神のバランスを崩してしまう描写は説得力があった。
役者の演技が、お伽噺的なストーリーを現実感のあるものにしてくれていたとも思う。

だけど、言いたいことと伝わるものがあまりに食い違ってねじれている。
表面的なメッセージは「人は見た目じゃないよ」だろうに、画面を見ていると「でもやっぱり美女と絡むならフツメン以上じゃないと!」という思想に洗脳されそうになる。
隠しているつもりのルッキズムの臭いがキツすぎて、見終わった後は不快な気持ちが勝つ。

正直私だって、キモい人よりイケメンのラブシーンの方が見たいと思っちゃう心はあるよ。
でも、現実世界の人間がルッキズムから逃れるのが難しいからこそ、「人は見た目じゃない」なんて耳障りのいいメッセージを垂れ流すのはむしろ有害だと思う。

ギレルモ・デル・トロ監督は、「僕は『美女と野獣』が好きじゃない。『人は外見ではない』というテーマなのに、なぜヒロインは美しい処女で、野獣はハンサムな王子になるんだ?」という思いで「シェイプオブウォーター」を撮ったそう。
ビューティーインサイドに感動した皆さんも、映画「シェイプオブウォーター」、おすすめです!!!!!

※ビューティーインサイドは2015年の作品。シェイプオブウォーターは2018年の作品なので、この3年間に外見問題への思索が深まっていると考えるとすごい。

※あとどうでもいいけど、韓国人以外の姿になった時に、韓国語は聴解できるのに話すのは外国語だけになっちゃうのはどういう理屈?
どう考えても、役者を揃えるときにその方が都合いいからだよなあとか、どうでもいいところが気になった。
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