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ビューティー・インサイドのSのレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
1.5
 たとえば深酒した夜、前後不覚になって眠ると昨日の自分と今の自分の連続性が疑わしくなることがありますね。ところで泡盛とさんぴん宜しく、コメディ要素とシリアス要素を6対4にしないといけない決まりが昨今の恋愛映画にはあるのでしょうか。外見が変わる設定が先にあるから、そんな体質のユジンの苦しみがどんなものか製作者もわかっていないのだろう。彼は一度でも死にたくなるような絶望を覚えなかっただろうか。これほど外交的な性格でいられるのは何故なのか。仮面をつけて生活しようと決心した朝はなかったか。畢竟、見た目が変わる体質は男女の恋愛ドラマを描くためだけに消費されてしまう。
 本作では重要らしいインサイドがどこに表現されているかといえば、非人間的な受容能力を備えるイスのひたむきで健気な顔にうっすらと反映されている。美しい女優の容姿から努めて目を離してみれば、いかに単調な恋愛ドラマなのかよくわかる。悪戯したユジンをイスが見失う群衆のシーンは良かった。
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