グラッデン

ビューティー・インサイドのグラッデンのレビュー・感想・評価

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
3.8
主人公・ウジンは、18歳のある日から、毎朝、目から覚めると年齢・性別・国籍の異なる人間に変身する身体になってしまう。ある日、訪れた家具店で働くイスに一目惚れをする。
ウジンは毎日異なる自分になってイスに会いに行くものの、次第に何とかデートに誘いたいという気持ちが強くなる。そして、自分が望む容姿になるまで待ち続け、寝ないでその容姿にキープする奇策に出るが。。

不勉強なもので、韓国映画は年間1.2本見る程度、ラブストーリーに至っては初めてだったのですが、楽しく見ることができました。

容姿が変身してしまうという仕掛け自体は、目新しいモノでは無いと思います。だからこそ、予告編の時点から、大雑把な作品のゴールのイメージを持って鑑賞に臨みました。

しかし、こうした予測は良い意味で裏切らされました。それは本作における「毎日続く」という要素が物語が進んだ後半部において響いてきたからだと思います。

これ以上書くとネタバレになりますので控えますが、ウジンとイスの心の距離感の変化を、丁寧かつ波紋を広げるように静かに進めていきます。特に分岐点となる何回かのイベントの描き方は好印象でした。それと、同時に作品の主観がウジンからイスに徐々に移行し、彼の存在を客観化していく流れも効果的であったと思いますね。

正直、序盤からウジンがオーダメードの家具職人として成功を収めているのが目に見えてわかり、イケメンに変身すれば一夜の相手には困らないリア充化してるので「贅沢な悩みを持ちやがって」と映画見ながら微妙に怒ってたのですが、ウジンの孤独に対する理解を深めると心境が変化してきました。

鑑賞者に適度に揺さぶりを仕掛け、ゆっくりと感情移入に持ち込む座組みが出来ていたのは良かったです。ただし、展開が早く感じたのでタメが少し欲しかったかもしれないです。映画のまとまりもしっかりありましたが、連続ドラマあたりの尺だと深みが出てきたかもしれませんね。

もう1つ、気になった点は日本から上野樹里さんが出演者したこともあって、日本を意識した演出が何点かあったのですが、日本人の私が見ても、浮きまくりだったという点ですね(汗)