設定は突飛なのに、映像や音楽や演技が静かで内省的で落ち着いていて、そのギャップが好きだった。
日替わりで違う外見の人間に生まれ変わり、キム・ウジンを何十人もの俳優が手分けして演じるのだけれど、おのずからそこに一貫性というか、一人の人間の人格が浮かび上がってくるように見えるのが不思議。
毎日違う外見でも心の中は変わりなく一人の人を愛しつづけるのと、同じ外見でも心の中が移り気でほかの人を恋してしまうのと、どちらが人を戸惑わせるのだろうか、などと考えていた。
主人公を演じる女性の、少しずつ恋のほうに傾く様子、相手の思いがけない秘密を知ったときの驚きと戸惑い、にもかかわらずもう一度会ってみようとする行動、そのあたりの機微が丁寧に描かれていた。何人ものウジンのうちの一人のチョン・ウヒとのシーンがとりわけ印象的。
