トランスマスター

はじまりへの旅のトランスマスターのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.0
♯27 人民には力を権力にはノーを

山奥で自給自足生活を営む大家族の物語。精神を病んでしまった母親の死を転機に、貨幣経済、プロテスタントの道徳観、ネットやTV、教育機関による初等教育からも距離を置いていた一家が、独自の価値観で人生を切り拓いていくロードムービー。

◆良い点/注目ポイント
・読書の力を改めて思い知らされました。長男のロシア古典を読んでいるのは想定内でしたが、ソバカスの女の子が『銃、病原菌、鉄』のペーパーバックを読んでいるのには、参りました。
・英語の方が世界標準になっている為、あまりお目にかかれない世界共通言語[エスペラント語]がどのような言葉なのかわかります。
・学校に一切通わずに子供を文武両道に育て、幼い息子の素朴な疑問に学術的に即答できる親父の博識が凄いです。
さらに息子をMITやハーバードも含んだIVYリーグを全て合格させるとは『ビリギャル』の坪田先生を遥かに超えています!
・後半の父親から息子へのメッセージは、凄い説得力でした。
・権利章典の娘が従兄弟からNIKEについての話題に対しルーブル美術館のサモトラケのニケで返す博学ぶりは凄いです。
あのスウォッシュマークのモデルと社名はそこから来ています。

◆改善点
・邦題とジャケットの画像が本作の良さを伝え切れていないのが勿体ないです。

◆総括
・作中の出来事のうち
食糧救出作戦は『万引き家族』から
遺灰の処理に関しては『湯を沸かすほどの熱い愛』からインスパイアを受けたと思います。

-2020年 27本目-