ビョーキノオタク

5 FEARS ファイブ・フィアーズのビョーキノオタクのレビュー・感想・評価

3.0
人間の5感をモチーフにした5つのショートホラー。
合わせても88分と、観やすいのが良いね。

1話目…嗅覚
うだつの上がらない男が、訪問販売の香水をつけた瞬間から運気が上昇するも、香水をつけた皮膚が爛れていき……

ワイもここぞという時にお腹痛くなったりするから、薬に頼りたくなる気持ちはよく分かるなあ(笑)
副作用があると分かってても、「今をなんとか乗り越えなきゃ…!」と思ってちゃうのよね。

2話目…視覚
視力検査をした患者からエキスを抜き取り、それを点眼することで患者の見た記憶を共有することができる眼科医。
患者の女性に気があり、彼女のエキスを点眼すると……

「他人の記憶を覗く」という、誰もが興味あるけど禁忌とする行為を平然とやってのける!そこにシビれる憧れ…はしないが、万人に共通する要素をお話にする脚本は面白い。

3話目…触覚
家族で山の中をドライブ中に事故に遭い、動けない両親の代わりに助けを呼びに行く盲目の少年。
しかし山には凶悪な殺人鬼が潜んでいて……

殺人鬼が潔癖症という設定なので、触れない殺人鬼vs盲目なので触って確かめるしかない少年という構図が面白い。
なにか欠点(制限)を抱えたキャラクターと、それを活かした物語展開はツボをおさえていて、この話が個人的には一番面白かったかも。

4話目…味覚
目的不明のまま謎の大企業に招かれた青年。
やがて上層部と思われる女性が現れ、彼を会社にスカウトしたいと言う。
実は青年にはある特殊な経歴があって……


いや、これ味覚である必要なくない??
製作陣が「5感をモチーフにしたホラー撮りましょうよ」って企画したはいいけど、いざ「味覚のホラー」担当になった人、「味覚のホラーってなんだよ……」と貧乏くじを引かされた気分になったんじゃないかと心配になっちゃった。
5つの話は別々に完結してはいるが、登場人物が共通して出てきたり、会社名が作品跨いで出てきたり、ビミョーに繋がっている作りになってるんだけど、前後の話とリンクさせるために無理やり撮った感が拭えない。。。


5話目…聴覚
最後まで聴くと気が狂ってしまう曲の断片を発見したミステリーレポーターが、曲を復元してしまう話。

モッキュメンタリー形式なのもあるけど、5つの話の中で1番編集技術が上手くて、ぐいぐい引き込まれた。
白黒映像とか、映像が乱れる時に挿入される不穏なカットだとか、もはや使い古された表現だけどやっぱり不気味。
「絶対に聴いてはいけない曲」と煽っておきながら、エンドロールでその曲が流れ出す演出も上手い。


全体的には「世にも奇妙な物語」のような話を、編集が粗くしたような作品だった(たぶんまだ若手の監督なんだろうなあ)

同じようなオムニバス形式のホラーの「V/H/S ネクストレベル」のような出来を期待しすぎていたかもしれない。