真っ黒こげ太郎

5 FEARS ファイブ・フィアーズの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.0
5本の短編。

5つの衝撃映像による―――

5つの恐怖体験。

ちなみにOP映像はイメージです。w



人間が持つ5つの感覚をモチーフにしたオムニバス形式のホラー短編集。
5人の映画監督が集まり、それぞれ描いた短編を88分の尺で流す映画。

こないだ観たオムニバスホラーが評判の割に案外楽しめる内容だったので、近所のレンタルショップにあったまた別のオムニバスホラーをレンタル。

…しかしどうしよう、監督が皆知らん人だ。w
オマケに他の監督作はアルバトロスやトランスワールドアソシエイツの配給だ…。www

と言う訳で不安になりながらも再生。


①SMELL
「嗅覚」に関するお話。

バツイチの平凡な男の前に現れた謎の女が「フェロモンが足りない!」と言い香水を置いてゆく。
それを付けた男は一転して、モテまくり、出世しまくりで人生バラ色パラダイス!!!
しかし、香水をつけた箇所がどんどん爛れてゆき…。

「世にも奇妙な物語」や「ストーリランド」チックなお話。
不思議な香水を付けた男の成功からの転落。
ぐちゃぐちゃの異形に溶ける男の姿が良い感じにグロい。
そして、ラストの凄まじいバッドなオチも好き。



②SEE
「視覚」に関するお話。

瞳から何かを吸い、それを目薬にする先生。
その目薬を刺すと、吸い取った人の体験を追体験できるのだ。
ある日、先生はとある女性から目薬を作り試しに刺すと、男に殴られるシーンが映る。
女性は旦那から、暴力を振るわれていたのだ。
博士は男を懲らしめるために、様々な恐怖を盛り込んだ目薬を男に刺すが…。

てっきりクズ男を懲らしめる話かと思ったら、そこからのどんでん返しが驚き。
中々勢いのあるバイオレンスやスプラッター描写もあって、小気味よく観れました。
ただ、ラストがワケ分からん。



③TOUCH
「触覚」に関するお話。

山奥をドライブ中の家族を襲う突然の事故!!!
1人軽傷で済んだ息子は助けを呼びに行くが、彼は目が見えなかった。
助けを呼ぶため、必死に歩を進める少年。
しかし辿り着いた場所で、少年は恐ろしい真実を知ることに…。

盲目の少年が、とある恐怖の事件に巻き込まれる。
詳細は省くが、まさかまさかの殺人鬼ホラーだった!!
内容自体はベタだが、少年と殺人鬼の攻防は見ごたえがありました。



④TASTE
「味覚」に関するお話。(どこがやねん。w)

とある会社に連れて来られた男。
実は天才ハッカーだった男は会社の女社長に「この会社に入社して働きなさい!」とオファーを受けるが、男はそれを断る。
その瞬間、女社長は豹変して…。

オファーを蹴った男がえらい目に遭わされるスプラッター・ホラー。
取り敢えず、顔面を抉られても生きてる男が凄い。w
(その後すぐ死ぬが。)
クライマックスまで割とタルく、男が何のために来たのか分からないのもあって話は微妙。
しかし、クライマックスでは一転して血塗れに!!!
ただ、その血まみれの部分が短すぎ!!!あっさり終わっちゃう。
もうちっと観たかったなぁ。



⑤LISTEN
「聴覚」に関するお話。

差出人不明で届けられた映像。
「聞くと死ぬ歌」や「死を招く曲」と称されてるとある曲。
とある男2人はその曲を蘇らせるために、封印されたバラバラのテープを復元しようとするが…。

とある封印曲を蘇らせようとする男2人の姿をPOV形式で描く。
謎の曲を追うドラマは何処となくミステリータッチで中々のめり込む。
POV特有のジャミジャミは正直うっとうしいけど、話自体はそこそこに面白い。
ラストは怖い系のFlashで何度も涙を見た自分としては怖くなった。

「友人や家族に”観るな”と伝えてくれ!!!」

ネットワークは娯楽の宝庫でもあるけど、それと同時に得体のしれないブツも眠っているのです…。



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…あれ、思ったより悪くないじゃん。w
どの作品も短い分、物足りない個所こそあれど、どれもそれなりに”見せ場”となってる個所がちゃんとある。
良い感じのグロシーンもあるし、王道な殺人鬼との対決物もある、世にも奇妙な物語やミステリータッチのお話もシッカリ入り込める。
どの作品も、シッカリ手堅く纏まってるというか。

ただ、どれも”手堅く纏まりすぎ”て、「これぞ!」という決定的に面白みのある作品やパンチの利いた作品に欠けるのが痛い所。
予算の関係もあるんかもしれんが、以前観たオムニバスホラーの①や③みたく、インパクトのある作品が欲しかったなぁ。
(まぁ、口にヤバい鉄牙付けた女とかは出てくるけど…)


なお、全ての短編でそれぞれの作品が繋がってると思しき箇所もあるんですが、正直予算削減の為に一部のキャストを使いまわしてるだけな気もするのは気のせいかな?w

まぁオムニバス故最初から最後まで退屈はしないと思うので、気になる人は見とくれ。
俺は、案外楽しめたぞ。


因みに個人的な各作品の評価はこんな感じ。

①4.2(一位)
②4.0(二位)
③4.2(同率一位)
④3.8(三位)
⑤4.0(同率二位)


①「世にも奇妙な物語」感が良し。ドロドロメイクやダークなオチも中々。
②ラストがよく分からないが、お話は純粋に面白い。グロ描写もあるよ。
③盲目の少年VS殺人鬼!!地味ながらツボを押さえた内容で好き。ラストは少々あっけないけど、後味爽やか。
④スプラッター描写が最高!でもそこに至るまでがちょっと長かったかな。
⑤ある意味一番ホラーしてる作品。こういう都市伝説的な奴って怖いと分かっていても気になっちゃうよね…。そして詳しく踏み込んで、泣きを見るという…。
POVのジャミジャミがやかましいが、実に怖かった。

こうして見ると、内容はバリエーションに富んでるね。
でも、物凄いインパクトのある一作!ってのは無かったかな。
その分、どれも真面目にシッカリ作られているのだけど。