フジタジュンコ

ホラー・シネマ・パラダイスのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

4.5
大好きです。
古典ホラー映画へのオマージュとリスペクト、愛にあふれていて、冒頭から楽しくてたまりません。

倫理観が破壊される殺戮シーンの連続ながら、だんだんとエスカレートしていくデボラにこそ感情移入してしまいます。
このデボラの才能を認め、女性として惹かれていたはずのスティーブンが、高校生というには年齢がいきすぎている同級生ジュディの手を握ってデボラを痛烈に批判するラストには少々苛立ち、そして非常な悲しみを感じました。

何者にもなれない、誰にも大切にされない、何も持っていない、そんなのデボラが一番わかっていたのに。彼女の作品すらも消えていくなんて……いやまあデボラに共感してしまう私もたいがいヤバイのかもしれませんが…

ユーモアが少し意地悪というか、冷徹で、とりわけデボラの物語のはじまりと幕の閉じ方にそれを感じるのですが、これはドラァグクイーンでもある監督ならではの距離感なのかもしれません(グランネル監督ご自身も本作にも深夜映画の女王として登場します。本職だけあって非常にカッコイイ)。

今回DVDで鑑賞したので、いつか劇場で見たいです。新文芸坐あたりで1日だけヴィクトリア劇場やってくれないかな。その時はふるまわれたドリンクは飲まないようにします。