せーや

ホラー・シネマ・パラダイスのせーやのレビュー・感想・評価

3.4
「悲しきクレイジーたち」

サンフランシスコにある深夜映画館「ヴィクトリア・シアター」。
支配人デボラは大好きな父の死により、この映画館を相続した。
そんな映画館を売却すると言い出した母を、デボラは殺してしまう。

母を殺した動画が間違って公開されてしまった!
でもそのリアルさに事情を知らない観客は大興奮!
次々と人を殺しては映画にして公開すると映画館は大盛況!
街の廃業寸前の小さな映画館の復活の物語!

コメディではないけれど憎めないおバカさん映画。

スナッフフィルムで人気を得た映画館のお話。
でもホントのところは、かわいそうなデボラのお話。

娘を溺愛する大好きなお父さんが死んで
自分を認めてくれる人がいなくなってしまったデボラ。
でも映画を撮ると、みんなが大歓声で迎えてくれる。
「パパ!私、輝いてるよ!」

基本的に登場人物がクソ野郎ばかりなので
殺されても何の感情もわかないのが逆に怖い。
どうせならあのクソババア教師も殺せばよかったのに(危険)。

デボラは父の影響で映画フリーク。
ということで、スナッフフィルムも
愛すべき映画へオマージュを捧げている。

「二都物語」とか序盤の映画のタイトルのセンスは
とても好きなんだけど、だんだん雑になっていくよね。
特に最後の長編映画デビューは、もうヤケクソなのかっていう。
あんなの失敗するに決まってるでしょうよ。

オープニングクレジットから意外とオシャレで
もしかしてアタリなんじゃないかと思ってしまう。
そして入り方もストーリーも結構面白いんだけど

最後だけ惜しかったなぁー!なんか物足りない!
どうせなら「ヒャッハッハー!!」なラストが良かった。

でも結果的には好きかもしれない。この映画。

キャストがとっても味がある。
基本的に女子は微妙なルックス(失礼)だけど味がある。
デボラ(見方によっては辺見えみり)は声がセクシーだし
双子ちゃんとおじいちゃんはとってもキュートだし。

それにね。

スナッフフィルムと知らずに映画を見た観客は
「この映画最高!めっちゃリアル!」とか言って興奮してるくせに
いざそれが本物と知ると「この映画最悪!」になる。
「演技すごいよね!」も「クソみたいな演技」になってしまう。
映画だろうが現実だろうが、結局殺人に興奮していることには変わらないのに。

そんな観客の身勝手な態度に監督は疑問を呈したかったのかなと
勝手に考えて反省してみたりしてしまう作品です。

でも「二都物語」の子は美乳だったなあ(しみじみ)。
せーや

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