真っ黒こげ太郎

ホラー・シネマ・パラダイスの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.8
嫌な親戚やマナーの悪い観客は、殺人映画の餌食になっちゃえ!!!

何時もの事だが、映画作りに命を賭けすぎ!



父から譲り受けたヴィクトリア劇場を守り抜くことを決めたデボラ。
ヴィクトリア劇場のメイン作品は「血の祝祭日」等のホラー映画で、ホラー好きな観客に根強く支持されていた。

しかし、嫌な叔母が劇場を売るためにデボラに迫る!!が、デボラは叔母を返り討ちにして殺害!!
更にその様子が、劇場のスクリーンを通して映しだされてしまう!!!
しかし、過激なホラー好きの観客に殺害場面が大ウケ!!!!
映写係の爺ちゃんの上手い紹介も相まって、本編前に上映される短編映画として人気を博す。

これに味を占めたデボラは映写係の爺ちゃんや雇い入れた凶悪な連中と共に、マナーを呼びかける短編映画という名目の殺人映像を作りまくるのだった。



劇場を経営する女性が、殺人映画を作りまくるホラー・ブラック・コメディ。
何でも「ピンク・フラミンゴ」の監督が絶賛したらしい。
(よう知らんが。)
冒頭からZ級映画配給でお馴染みのアサルトワンのロゴが出て「やっちまったか!?」と思いましたが、幸いちゃんとした内容で安心しました。w


内容は「映画館の経営者が、殺人短編映画で売れっ子に!」なお話だが、意外にもお話が面白く出来てて最後まで飽きずに観れる。
作られる短編映画が「不動産屋やデベロッパーなんぞには屈しねぇぜ!」とか「上映中はケータイの電源切ろうね!」と言った内容で、マナー違反してる連中を容赦なく血みどろに殺っちゃうのが最高!!!
最近の映画館でもこういう感じのマナー呼びかけ映像を流して欲しいもんだ。w

劇場に昔から出入りしているファンのオタク青年が、段々と劇場で行われている凶行に気づいていくのも良い。
殺人映像も段々とエスカレートしてゆき、最終的には劇場が血濡れの絶叫騒ぎの大惨事と化して盛り上がる!!!
(劇場がパニックになるのは「デモンズ」を思い出すね。w)
デボラが映画作りでのし上がってゆき、段々と狂ってゆく様も良い。
(クライマックスの狂気の演技も必見。)

要所要所で悪趣味なネタも良く、特にクライマックスのアホな血みどろ大騒ぎっぷりは愉快!!!
登場人物も映画館の連中を初め、みんな個性豊か賑やかで楽しい。
(キチガイ兄ちゃんと殺人鬼の姉妹のキャラが良い。後クライマックスでやたら勇敢なドラァグクイーンの人とかw)

劇場公開されてる作品がハーシェル・ゴードン・ルイスさんの作品だったり、序盤で70年代の映画ポスターのパロディが描かれたりと、古き良きホラー映画のパロディも良い塩梅で盛り込まれている。
俺はそこまで詳しくないのでよう分からん(爆)が、その筋のファンの方ならもっと楽しめるかも。

スプラッター度数はそれなりレベルだが、オッパイ切り落としや、口縫い合わせられた人が必死に口を開く場面や、チンピラ従業員の悪趣味でアホ過ぎる死に様等、中々侮れぬスプラッター描写も飛び出し、グロ方面も満足。



映画自体は割と低予算だし、割とザックリしてる所もあるが、個性豊かな連中が織り成す殺人映画作りの愉快な話に加え、昔のホラー映画のリスペクトも忘れず、センスも良さも炸裂した楽しいスプラッター・コメディ。

ホラー映画やスプラッター映画好きなら、観て損はない秀作です。