真一

エイリアン:コヴェナントの真一のレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
2.5
 SFホラー映画「エイリアン」シリーズがヒットしすぎたためにつくられた前日譚の第2弾。第1弾の「プロメテウス」に続き、恐怖のベールに包まれていたエイリアンのルーツをこれでもかとばかりに明らかにしてしまう物語です。一言で言うと、神秘なきエイリアンの登場。「エイリアン」「エイリアン2」の恐怖感覚をこよなく愛するファンにとっては、頭を抱えてしまうストーリー設定です。

※以下、ネタバレ含みます。

 第1弾をおさらいすると、下記の通り。

① 私たち人類を創造したのは、別の太陽系に住む筋肉モリモリのヒト型宇宙人「エンジニア」だった。
② このエンジニアが人類を滅ぼそうと考え、黒い粉のような生物兵器を開発する。
③ エンジニアは、未知の惑星に拠点を構え、生物兵器を大量に貯蔵する。
④ 未知の惑星を訪れたエンジニアたちは、自分たちがつくった生物兵器に襲われてほぼ死滅。
⑤ この惑星に、主人公のエリザベス・ショウ博士ら一行が到着。
⑥ 一行も生物兵器に次々と殺害され、エリザベスと、同行したアンドロイドのデイビッドだけが生き残る。
⑦ エリザベスは、頭部だけになったデイビッドを携え、エンジニアが残した宇宙船に乗り込む。目指したのは地球でなく、エンジニアの母星だった…

今回の第2弾は、エンジニアがつくりかけた生物兵器を、復活したデイビッドが完成させるというストーリー。エンジニアが手がけた生物兵器は、エイリアンの原型とも言うべき怪物で、十分に凶暴で怖いのだが、デイビッドはこれをエイリアンの完全体に仕立て上げる。要するに、SFホラー映画の最強主人公エイリアンは、得体の知れない神秘の存在ではなく、ウェイランド社製のアンドロイドが出来心でつくったウェイランド社由来の生物だったというストーリーだ。がっかりしてしまうオチです。

 ホラーはそもそもファンタジーであり、非科学的だ。だから、ホラー現象を理屈で解き明かすと、かえって荒唐無稽な感じが強くなってしまう。未知なる恐怖が理不尽に人々を襲うのが、ホラーの醍醐味のはず。「ウェイランド社の経済至上主義が、エイリアンを生み出したのである」と結論付けられると、そんな陳腐なメッセージでわれらがエイリアンを汚すなと叫びたくもなる。

 「プロメテウス」と「コヴェナント」によって弱体化させられたエイリアンを、いずれ日の目を見るであろう「エイリアン5」で大復活させてほしいです。うーん、また裏切られるかなあ…
真一

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