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エイリアン:コヴェナントのMikiMickleのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
3.5
コヴェナント…聖約。

湖畔の眺めの良い白い部屋。
ある男が目覚める。
父であるという男に「何が見える?」と尋ねられる。フランチェスカの「キリストの降誕」。カルロ・ブガッティの王座。スタインウェイのピアノ。
ミケランジェロの巨大なダビデ像を見て、自らをデイヴィッドと名付ける。
父は、生まれたばかりの彼にワーグナーを弾かせる。奏でるのは「ラインの黄金」の「ヴァルハラ城への神々の入城」
なんとも意味深。かつ、その後を予言するかのよう……
父=神であるかのような圧力…しかしながら、息子は不老不死のアンドロイドである。

今作は『プロメテウス』の続編であり、『エイリアン』の前日譚三部作の2作目。

2104年、人類初の他惑星への入植船コヴェナントは人類の希望とともに乗組員15名 入植者2000名 胎芽1140体を乗せ、オリガエ6へと向かっていた。
乗組員はそれぞれカップルであり、希望に満ちていた。
しかし、突然の不慮の自体により冷凍睡眠から起こされ、船長(ジェームズ・フランコ)は事故死してしまう。残された妻ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストーン)は悲しみに暮れる… 直後に受信した謎の電波。「カントリーロード」の歌。
調査した所、その信号は地球に似た環境の近場の惑星から発信さてれいるものだった。新しい船長はダニエルズの反対を押し切り、その惑星へと向かう。その惑星は楽園かと思われたが……
黒い胞子により寄生し現れたエイリアンに襲われるクルーを助けたのは、アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)にそっくりな、10年前に消息不明になっていたプロメテウスの乗組員アンドロイドのデイヴィッドだった…
人間とアンドロイドとエイリアンの三つ巴…


この映画の見どころは、まず、エイリアンの起源がどういったものなのかという所。そもそもそれを描いたものであるし。(インタビューでリドリー・スコットが「誰もエイリアンの起源を描かないから作った」みたいな事を確か言っていたはず。)
どうやって生まれ、なんの為に生きているのか… そこは冒頭のアンドロイドの生誕の件と上手く連呼している様に思える。例えば、エイリアンと対をなすプレデターは成人過程という通過儀礼としての殺略というものがあった。
が、エイリアンは細胞自体に寄生と殺略がある事が今作ではっきりとわかる。そして、創造されたものだという事も…

今作でも他作品の生態とはまた違った個体が見れるのがやはり面白い。白いネオモーフなど。前作の黒い液体から黒い胞子による寄生という変化も見逃せない。これを作ったのは彼なのか…

また、美的感覚も興味深く、前述したデイヴィッドの誕生シーンしかり、ウィリアム・ブレイクの「大いなる赤き龍と日を纏った女」如くの背中バスター、惑星での黒々と固まった人々の遺体はポンペイの惨劇のようであり、ソドムとゴモラの天罰のようにも思える。
人類の創造と種の根源という、いわば旧約聖書の様な世界観の中、そういったものが随所に表れているように感じた。

とか、堅苦しく書いたけど、
今回のチェストバスターは手足がある状態で出てくる‼ ちびっ子エイリアンが「わーいヽ(・∀・)ノ」って感じでお腹やぶって出てくるシーンには笑ってしまった(笑) なんじゃ、こいつ‼(笑) 可愛いぞ❤
白塗り口無しエイリアンは、うーん、これは微妙…でも、根源がこれであり、後に寄生により変化していくのがわかり、なるほどと。

雰囲気としては1を期待したものの、ホラーアクション満載でむしろジェームス・キャメロンの2に近い。逆にオマージュ?? 困り顔のダニエルズが戦いますっ‼
「1人になる」「エロい事してると殺られる」という死亡フラグをきちんと踏んでいるのも笑えた(笑) そこだけなぜかB級感(笑) いや、むしろそもそもエイリアンは密室お化け屋敷映画だしね。今回はガイ・ピアーズはちゃんとまともな顔が見えたね。古城の秘密の人体実験室、めちゃくちゃワクワクした♥

というホラーエンターテインメントな部分もありつつも、監督が一番伝えたい事はやはり違うと思う。
やはり心に残るのはアンドロイドのデイヴィッド。『ブレードランナー』しかり、リドリー・スコットが描くアンドロイド像というものが明確に表れている。エイリアンシーンが多くないのも、その為だと思う。彼が抱える心の闇。コンプレックス… 何故そういった行動を起こしたのか。考えれば考えるほど深いものである。

そして、↑上の続きだが、一番のテーマである(のだと思う)“人間の根源”。そして旧約聖書との関連。

前作の題名のプロメテウスは、人類に火を与えた為にゼウスの怒りをかった。デイヴィッドは巨人ゴリアテを退治したダビデである。巨人は、人間を作ったエンジニアの象徴であろう。英雄であるダビデ=デイヴィッドというのも感慨深い。
今作の元の題名は「Paradise Lost」。ミルトンの「失楽園」である。
デビッドとウォルターの関係性は、まるで人類初の殺人と言われるカインとアベルだ。カインコンプレックス。まさに嫉妬…
前作プロメテウスでは、ショー博士が首から下げる十字架のネックレスを外させる様なシーンもいくつかあり。今回のクルーが皆カップルであったのも、ノアの方舟を彷彿とさせる。しかし、約束の地に行かなかった彼らの運命は散々なもので…
やはりこの新エイリアン三部作は「エイリアン」の存在はおまけの様なもので、愛すべきエイリアンの衣を纏った、別次元のものだなと…非常に面白い‼‼

続編は、プロメテウスとコヴェナントの間の話らしく、創造主エンジニアとデビットとショー博士の間に何があったのか、どんなネタをぶっこんでくるのか、そこにエイリアンがどう絡んでくるのか、楽しみで仕方ない。リドリー・スコットさん、どうぞいつまでもお元気で精力的にパワフルなものを作り続けてくださいっっ‼‼

↑何を書いているんだかw
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