似太郎

山の音の似太郎のレビュー・感想・評価

山の音(1954年製作の映画)
4.0
【日常の煌めき?】

原作川端康成か…。川端文学にそこまで思い入れは私であるが、まあまあ楽しめる家庭劇の佳作。主演の原節子がまるでフランスの女優みたいで華奢な雰囲気を醸し出している。脚本は『また逢う日まで』の水木洋子が担当。

小津、清水、成瀬など戦前から活躍する【ほのぼの日常系監督】の特徴として「バンカラな親父」が必ず登場するんだが、本作の山村聰なんかはまさしくその典型だ。

やや昭和初期の邦画を引きずっている雰囲気もあるけど、成瀬巳喜男の語り口はさすがに上手い。これが『乱れる』や『乱れ雲』辺りになると前衛的になってくる。左右対称で撮られた男女の歩行シーンにうっとりしてまう。リッチ!
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