R

山の音のRのレビュー・感想・評価

山の音(1954年製作の映画)
3.6
10年くらい前に原作読んだ。平凡な日常が狂っていくのを淡々と遠くから鳴り響く不協和音のように描いてる小説とは違って映画はかなり露骨。自分の夫婦は平穏に暮らしてるけど、息子と娘は全く上手くいってない。息子の結婚の破綻を解決しようと行動するさまを中心に据えながら、息子の嫁菊子との淡い恋心にも似た父子関係を描く。ふたりがお互いを愛し、慕い、いたわる気持ちは恋愛以上のものがあり、そんななか突然ドキッとするシーンが!あまりに唐突にむわっとただようエロス!劇中いろんな伏線が隠喩として張り巡らされてて、能面の演出も素晴らしいし、決断のラストシーンは美しくも哀しい。うまくいかなかった人生の苦味が胸に迫る。不細工なばあさんが「あたしの姉はきれいでしたねぇ、ひがむわけじゃなけどわたしも問題にされないって気持ちが強くて、でも慣れましたねぇ」「運が悪かった」とこぼすところがぐっときた。「われつひに 富士にのぼらず おひにけり」とならぬよう精進しよっと笑
R

R