イルーナ

ヘンゼルとグレーテルのイルーナのレビュー・感想・評価

ヘンゼルとグレーテル(1982年製作の映画)
3.5
【チャーリーとチョコレート工場の原型?】

ティム・バートン幻の初期作品の一つ。
ディズニー・チャンネルで放送されたテレビ映画にして、『フランケンウィニー』に先駆けて初の実写作品になります。
物語は誰もが知る童話なので難しい部分はないのですが、まあ一目見てバートンと分かる演出の数々!

初っ端から、けばけばしいカラーリングにギョロ目のおもちゃ、渦巻き模様。
引きで見た森の木々はストライプ模様みたい。
後の『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』や『ビートルジュース』を彷彿とさせるデザインや演出もあったし……
ほんっとに作家性というものを隠せない人なんだな。
個人的にお気に入りの演出は、鳥のおもちゃがトランスフォーマー化してお菓子の家へ導くシーン。
全体的に学芸会に毛が生えた程度のチープさなのですが、彼の作家性も相まって異様なムードに。
さながら、テンポをゆるーくした『フォービデン・ゾーン』みたいな感じで。

特に目を引いたのが、「食べる」という行為に嫌悪感を感じさせるかのような描き方。
実家で食べてる緑色の謎のペーストだけでもひたすら不味そうでキツいのですが、一番の見所のはずのお菓子の家の扱いがもう、とにかく汚い!
貪り食らう食べ方はもちろん、壁をつつくと謎の液体がブシャー、屋根からグチョグチョ溶けて滴ってるチョコレートらしきもの。
クライマックスではまるであらゆる絵の具をぶちまけたかのような崩壊を見せてくる。
お菓子がテーマのはずなのに、ぜんっぜん美味しそうに見えない!
どこかで観た事あるなー……と思ったら『チャーリーとチョコレート工場』でした。
貪欲な子供、お菓子が美味しそうどころか嫌悪感を感じさせる演出。まんまチャリチョコの原型ですよこれ。
……こんなシロモノをディズニー・チャンネルで流すなw
調べたら案の定、一度放映されただけだったらしい。さもありなん。

しかし、キャスト全員が東洋人というのはどういう意図なんだろう。おまけに魔女が手裏剣やらヌンチャクを使ってくるw
大好きな怪獣映画と言ったら日本だから、東洋への憧れでもあったのでしょうか?
イルーナ

イルーナ