日々壊れていく自分と向き合った、若年性アルツハイマー病と診断された主人公アリスと、その家族の日々を描いた物語。
若年性認知症は高学歴者(IQの高い人)の発症リスクが高く、進行スピードも速いといわれている。
身体はまだまだ健康そのもの。自分自身が失われていくことへの戸惑いや恐怖はきっと、わたしたちの想像する以上のものだろう。
実際に同じ病を患う方々の手記も多く出版されている。
こんなにもリアルなこの作品が、フィクションだなんて、驚きでしかない。
大学構内で迷子になり、突然"ひとり"になってしまうシーン。カメラワークとなんとも言えない表情がとても印象的だった。
混乱したり、不安定になったり、失禁したり、、
失われ噛み合わなくなる日常。
やり場のない不安と怒りと悲しみと苦しみ。
"わたしたちはまだ生きています"
"わたしたちが苦しんでいると思わないで。戦っているのです"
アリスのスピーチの中のこの言葉。アルツハイマー病という病が、彼らを"特別な存在"に仕立て上げてしまうけれど。忘れてはいけないのは、人は相互に認識し合うからこそ存在しているということ。愛ってそういうものなのかも。
それにしても、ジュリアン・ムーアにはほんとうに魅せられる。彼女の演じる、聡明で美しかった女性が刻々と変わっていく姿は、見事としか言いようがない。
それでも、アリスは、
アリスのままでー。