はま

アリスのままでのはまのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.6
アカデミー賞のニュースでたくさん見ていたのであらすじだけは知っていた作品。主演女優賞を受賞したジュリアン・ムーアの演技はその通り素晴らしかったですが(最初と最後の表情や動きの違いは驚き。)、彼女に隠れたクリステン・スチュワートの演技も素晴らしかった!
家族の事を考えるとちょこちょこ泣きそうになるシーンがありました。

【言語学教授のアリスは若年性アルツハイマーを発症する。普段通りの生活の中から少しづつ抜けていく記憶に、アリスとその家族は…】
変にドラマチックな展開というよりは、いたって普通の家庭の母親がアルツハイマーを患ったら…という現実的な物語。これまでアルツハイマーというものはぼんやりと「記憶障害」だということは知っていたけど、「家族性」という遺伝性の言葉は知らず、アリスが家族に謝罪するシーンは本当に辛かった。

そういえばWOWOWのコーナー「W座からの招待状」での今作の紹介文章がとても素晴らしかったです。
"忘れるとは、心を亡くすと書く。記憶をなくし、思い出をなくし、失っていくものもあれば、なくしてこそ手に入るものもある。忘れるとは、亡くした心を取り戻すと書く。"
今作を観る前はしっくりこなかったけど、観た後にこの文章(かなりざっくり端折ってますが…)を観ると、なるほどなぁ〜〜!となりました。このコーナー、いつも取り留めのないことばっか言ってる気がしてたんですが珍しかったです(笑)

家庭に起こる一つ一つの細かい出来事にフォーカスを当ててはいますが、終盤にあるアリスの演説はそこだけ見ても中々心に残るものじゃないかなぁと思いました。ああいうシーンは「クサイこと言ってんなぁ」ってひねくれてしまう自分でちょっと泣きそうでした←

"人が死ぬ時とは 誰にも思い出されなくなった時だ"みたいな言葉がどっかにありましたが、確かにそれだけ人間は記憶に依存していて、体は健康なのにそこだけが抜けていくってアリスの言う通りガンより辛いのかも…って思いました。
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