Mayu

アリスのままでのMayuのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
4.5
涙なしには見られない。
若年性アルツハイマー型認知症を患った、頭脳明晰な女教師アリスのお話。
この超高齢化社会に向けて、アルツハイマー、認知症への理解を深める為にも沢山の人に見て欲しい作品です。

認知機能障害を患った当人の辛さはもちろんあります。失われていく記憶とともに、尊厳も失われていく。その人自身がそうなっているのではない、病気がそうさせてるんです。考えてみてください、突然に自分がどこにいるのか、そばにいる人が誰なのかわからなくなるんです。こんなに怖い事ってないと思います。
そして当人の苦痛だけでなく家族も苦しみます。昔のその人を知っているからこそ、変わっていく姿を見ていくのが辛い、出来ないことが増えてきてそれを介護するのも大変、介護するのにも自分の何かを犠牲にしなくてはいけない、その時家族の下さなきゃいけない決断、それに対する罪悪感…

そんな全てをリアルに描いてるのが今作です。
綺麗事ではなく、妻を娘に託してキャリアを選んだ夫の姿、一見残酷なように映るけど、美談で片付けられないリアルを映していたのがまた良かったですね。
職業柄そういう人や家族に触れる機会が多いので、大いに共感できる側で、改めて気づかされたことがあります。

私達は苦しんでいるのではない、闘っているんです。

という作中の言葉に胸を打たれました。
この言葉で認知機能障害を患った人達への考え方は変化するでしょう。

何も出来なくてわからなくなってかわいそうな人、ではなく、何かをしようとしてわかろうとして闘っている強い人、でしょうね。そう考えると自ずと敬意を払えるようになり、一緒に闘おうと思える事が出来ると思います。
これからも、そういった方に敬意を払って接しなければなと思えました。
この映画にありがとう。
いい映画です。とても。
Mayu

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