ひれんじゃく

ボーダーラインのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.1
エミリーブラントとベニチオデルトロ目当てで見たんですがまあそんな軽いノリで来た輩を機関銃で掃討していくような雰囲気の作品でしたね。タイトルにもあるように国境や善悪、倫理観のボーダーラインを躊躇なく踏み越え、時にはその前で立ち止まって迷う人々の物語という感じだった。始終雰囲気が統一されていてよかった。そうやってストーリーと絡み合って何十にも意味を持つタイトルがメチャ好きなので最高でした。メッセージといいブレードランナー2049といいもしかしてドゥニ・ヴィルヌーヴ、面白い作品量産監督だな????????

作戦が作戦なので誰も信用できないケイトの不信感が表されたカメラワークも凝っててよかった。マフィアの家来をとっ捕まえて刑務所?に寄ったあと、マットと話しているケイトが異様に遠景から映されていたりとか。こんな仕事やめちまえよと始終思いながら観てたし救いがねえ!!!!!アレハンドロとケイトの奇妙な関係性はとてもとても好きでしたね…恋に落ちない(落ちようがないともいう)男女最高だ………娘に似ていると言いながらも自分の目的を達するためには平気でぶん殴ってくるアレハンドロと、始終信用せず真実と正義を追いかけ続けたケイト。境界線を乗り越えた者と乗り越えられなかった者の表現が巧みだった。ラストシーンとか特に。

以下ちょっとネタバレしてるので注意。
























冒頭からちょくちょく映るなあ…こいつがボスか?と思ってたら警官だったのねあの人。遺された子供が空っぽのベッドの前に佇んだ後、母親と一緒にサッカーの試合に出かけ、遠くから聞こえてきた銃声に耳を澄ませるもまた何事もなかったかのように試合に戻っていく、あのシーンで終わるのがもう本当にうまいなあと思った。実際のメキシコはあれほどまでに治安が悪くないと思いたいけど、あの地に生きる人々の諦め、慣れがグワっと襲ってきた感じ。泣きながらボーダーラインを踏み越えたケイトの行為は無駄だったのだろうか、とため息をつきたくなってしまうようなあの空虚さよ。
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