社会のダストダス

ボーダーラインの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.1
珍しく顔が怖いおじさん達がメインの映画を観ました。

これは原題より邦題のほうが作品を象徴しているように見える珍しいパターンかも。善悪の境界、国境、たぶん昼と夜にもかかるのかな。原題の『Sicario』もストレートで良いけど、このタイトルを念頭に観ると誰が主役なのかは一目瞭然というのもある。

アメリカとメキシコの国境、司法と麻薬カルテルの戦いを描いたクライム・サスペンス

タイトル自体は知ってて前々から気になってはいた作品。これ、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督だったのですね、未だにちゃんと名前覚えられないけど。SFの人というイメージがあったからちょっと意外だった。

麻薬カルテルと言えば、麻薬・見せしめ・誘拐の三種の神器みたいなのがあるけど、日本に住んでいるとタイトルにかけて、違う世界線みたいな出来事に感じる。四肢がちぎれた死体が吊り下げられてるのなんて、どんだけ修羅の国なんだよと。

ドゥニ・ヴィルヌーヴは『DUNE』くらいしか観たことなかったし、キャストも名前はメジャーだけど普段そんなに出演作品追ってない人が多かったので、新鮮な気持ちで観れた。最近新作映画を観ることのほうが多いから、U-nextでなんかないかなという気まぐれで選んだのだけど。

ベニチオ・デル・トロの終盤の動向も見どころではあるけど、フル装備の特殊部隊がカルテルのアジトに入っていって次々に始末していくのは、まるでFPSでゲーム感覚で人を撃っているようにも感じられた。現場のような臨場感を伝えるシーンというよりは、画面越し鑑賞者の道徳心に問いかけているようにも思える。ここまでするべきか否か。