邦題はちょいダサいけど、この映画のサブタイトル的な意味ではあながち外れてもいない
これは半分くらいミスリードで実はダブル主人公
純粋な正義を掲げるケイトと秩序を正すためのある意味必要悪みたいな役割を果たすアレハンドロを対立させ、善悪の"ボーダーライン"を問う
アレハンドロは多少個人的な動機を抱えているものの、完全に悪と断定できないのがケイト視点で見るとなんとも歯痒い
善を追求するだけが正解ではないのが世の常
ヴィルヌーヴ映画は新しいものから遡る形で追ってるけど、この頃になるとまだCGはそれほど使われず、自然の美を駆使して映像を作っている
が、CGを使っても使わなくても洗練された映像を作り出せるのは相変わらず、ヴィルヌーヴの生の作家性を感じさせる
空から見下ろしたりサーモカメラを使ったりなどの映像の多様さ、劇伴との相性もまた作品の質を底上げしているよう
アクション映画のようでそこまでアクションはなく、とはいえ適度なリアルさと緊迫感で手に汗握る上質なアクションシーンはこの映画の重要な要素でもある
犯罪の匂いしかしないメキシコの街並み、俳優の演技からも滲み出るここヤバいぞ感