エイプリル

グレイテスト・ショーマンのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

評判の高さに違わぬすごいミュージカル映画でした。
ミュージカルの内容も質が高いのですが、あくまでストーリーをダイジェスト的に見せつつ、メインとなるシーンをミュージカルで表現するようになっていて、「ミュージカルを観たな」って気持ちにさせてくれるのが最高すぎます。

とはいえストーリーがおざなりになっているということもありませんでした。本作は登場人物みんなが「自分の持って生まれた運命と対決する」というテーマのもとで動いていくのですが、さまざまな視点から登場人物を動かしていて素晴らしかったです。障害のある人達については「世間から白い目で見られる」という運命を「見せ物ではなく、自らが勇気を持って飛び出すことで喝采を得る」結果として逆転して見せているのが最たる例ですが、この映画の素晴らしいところは、持って生まれた運命による苦痛というのは何も恵まれない人達ばかりではないということを表現しているところです。ヒロインのチャリティは「金持ちの家に生まれたことによる恋愛の窮屈さ」という運命を持っていますし、フィリップも上流階級であるがゆえに見えていなかった社会と対決することになります。この視野の広さが映画のストーリーに深みを出していて、世界に没入できました。
みんな自分の運命との対決を終わらせているのに、いつも自信満々の主人公自身がずっとそれから目を逸らし続けていたというのも好きな展開でした。

フィリップ、本作で一番好きかもしれません。終盤で「君のせいで全てを失ったけど、自分には友情と愛と誇りある仕事が残った。生きる喜びを教わった」的なことを言うシーンがあって、ここで初めて本当の意味で主人公とパートナーになったことが示されていて、相当感動しました。
あとはヒロインといえば合間合間に出てくる評論家、あの人出てきた時点で「多分最後にデレるな…」と思って観てたんですが、思った通り主人公が一番しんどい時にスッと現れて励ましてくれるの、相当ヒロインです。

エンドロール直前のラストメッセージも、娘は結局舞台上で喝采をさらうようにはならなかったけど、それでも満足してる表情を浮かべているのも、まさに本作のテーマ通りで、冒頭からラストシーンまで手を抜かずに一本筋の通った映画でした。またいずれ観ると思います。
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