ミュージカル映画は最初の掴みが大事だと私は思う。つまり、最初に流れる楽曲を聴いて、テンションが上がるかどうかで映画の評価は変わってくる。今作に関しては、残念ながら乗れない方だった。
物語は19世紀に実在した興行師P・T・バーナムの半生をミュージカル化して描いている。
正直、脚本は浅はかだし、キャラクターに深みが無い。監督のマイケル・グレイシーは主演のヒュー・ジャックマンと組んだCM監督というだけで、ミュージカルへの愛着は感じられない。
では、何が良いのか。『ラ・ラ・ランド』でも作曲を担当したベンジ・パセックとジャスティン・ポールのナンバーである。「This Is Me」や「Rewrite The Stars」が聴き応えがあって、エネルギッシュだった。
もう一つはヒュー・ジャックマンのパフォーマンスだろう。『プレステージ』を観ても思ったが、彼はエンターテイナーの役がよく似合う。ミュージカルで培った賜物に違いない。比較するなら同じミュージカルの『レ・ミ・ゼラブル』より同じショーマンを演じた『プレステージ 』を推奨したい。歌姫のレベッカ・ファーガソンも二重丸だ。