このレビューはネタバレを含みます
欲望のためなら、手段を選ばないという自己中心的な性質が二人を似たもの同士と感じさせる。
自分の立場だけを気にして、家族の負担に考えが及ばないところも(パートナーが取材している殺人容疑者から自宅に電話がかかってきて、家庭や二人のあれこれ何でも聞いてるよ、なんて言われたら、ゾッとするしイヤだ…一悶着あるでしょ普通)
実話に基づく作品ということで話題の本作。
一見すると残酷な殺人が表出しているけれど。
個人的にテーマは「嘘について」ではないかと思った。
そうするとタイトルが"True Story"であることがなんとも皮肉に感じられる。
そういう意図があるとすれば、この話信じる？と鑑賞してるこちらに問いかけられてるよね？と思わずにいられない。
この「詐欺師と嘘つき」合作の「真実の物語」を、猟奇殺人者をジャーナリストが追う！みたいに観てしまうと、ゾワゾワとした味わいもない結果になりかねない。
そこは作中に出てくる、重複表現(二重表現)がありとあらゆるシーンやセリフに隠れていないか、どうか探しながら鑑賞してみて。
嘘で人生を棒に振った人、嘘で人生を棒には振ったけど取り返した人の、本当の物語。
この作品、この話も、二人で作ってないよね？と若干穿った見方もしてしまう。
人からは逃げられても自分からは逃げられない。
終盤のこの言葉、身にしみる。
ちなみにこの二人、いまだ月イチで会って話しているそうな。
どうなのそれ？っていうか、嘘で現実をダメにしちゃったのは片方だけ。
NYタイムズ時代、正義のためと捏造記事を書いていた著者の「真実の物語」。
どう観るかは自由です。
