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アイスマン 超空の戦士のmatchypotterのレビュー・感想・評価

アイスマン 超空の戦士(2014年製作の映画)
3.4
今年は中国、香港映画を覗き込もうと言うことで、少しディープな領域に迷い込む。

ディープとはいえ、これ、『アイスマン 超空の戦士』、ドニーイェン主演。であれば、間違いない、と挑戦。
この後、もう1本『アイスマン 宇宙最速の戦士』なるモノがある、らしい。それが続編なのか何なのか、さっぱりわからないが見てみればわかるっしょ、と言うことで。

1600年代の明朝時代の戦士が、現代の香港で冷凍催眠から目覚める。しかも、ドニーイェン、だけではなく、他にも2人ほど。

その明朝時代に、インドに伝わるシヴァ神の力を秘めた神具が存在。シヴァの“金球”て、おい。
その道具と、当時の明朝のいざこざが現代に甦り、現代人を巻き込みながら神秘の明朝武術アクション現代時代劇に、、、。

明朝当時、“濡れ衣”を着せられたドニーイェン。
処罰されるところをどさくさ紛れて逃げ延び、その雪辱を果たす、、、現代に持ち越して。

話が現代と明朝時代を行ったり来たり。
話が行ったり来たりしても、本人たちはそのまま地続き。

自分の正義、過去の忠義、そして、現代で触れる得体の知れない人やモノの数々。
時代を越え、文化と歴史を超え、明朝と現代を股にかけた時代スペクタクル。

タイムスリップ系で昔の傑物が現代にやってくる映画は数多くあるが、中国のこの手の映画は、その歴史が深い。何百年、何千年と。

過去から来た戦士の過去に、さらに過去の歴史が乗っかる。すごい歴史の重さ。さすが中国。

さらに、現代に来たからといって、その現代の文明に臆することもないドニーイェンのこのキャラの肝っ玉。
臆することないどころか、今の現代では忘れ去られた気功的な力を知り、時が経とうと変わらない森羅万象の心理みたいな人としての筋がある傑物。

こんなぶっ飛んだタイムスリップスペクタクルアクション時代劇は、彼が演じる他に選択の余地ナシ。
彼、ドニーイェンありきの作品と言って良い。

どんな設定であれ、様になる立ち振る舞い、強靭でタフなアクション、ワイヤー的なアクロバティックな身のこなし。
さらに、現代の警官隊相手の銃撃戦をカッコいい3ピースのスーツで相手取る勇ましさ。

やっぱり、現代の香港映画は彼抜きでは語れない。
とんでもない設定でも、この真面目で芯のあるカッコ良さで画にしてしまう彼の魅力がすごい。

あのおばさんに皇帝からもらった贈り物を迷わず捧げちゃう彼の人の良さ。
軟弱だが色々拗れて単純でもない現代に、無骨だけど屈強でまっすぐな明朝の男がやって来て、人々の生活にも大切なものを残す。

破天荒な設定と話の展開がなかなか凄まじいが、どんな状況、環境でも動じないドニーイェンのキャラクターがカッコいい映画。

この水川あさみ的な女の子もやんちゃで可愛い。
そもそもこの歴史の歪みを受け入れちゃうのがこれはこれでキャラとして素敵。

“蒼井そらは世界のもの”。“倭寇”“東洋の魔女”をそこでいじってくるか。一時期、あっちではものすごい人気だったと聞くが、彼女がこの作品の現代のそれを代表することになろうとは。

さり気なく“関羽”とか出てくるし。中国の歴史、恐るべし。
このスケールの歴史観が、冷凍催眠で目覚めた男たちの“生の歴史”と、現代まで脈々と語り継がれてきた歴史や解釈が交錯する。

それがドニーイェンの男気と合わさる。これはなかなか他では観れないパンチ力。
最後の橋の上での戦いは流石としか言いようがない。スゴい。やっぱり彼、ありき。

もう1つある『アイスマン』、、、これはもう、気になる。観るしかない。


F:1996
M:404
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