Donatello

ザ・ブリザードのDonatelloのレビュー・感想・評価

ザ・ブリザード(2016年製作の映画)
2.9
実話を元にディズニーが製作というあたりで、取り敢えずエグい表現はないんだろうなという事がそもそも分かってしまう系映画です。

遭難した船内で「死んだ仲間を食べてやり過ごす」とか「仲間割れで死者が出る」とかいう展開はワーナーだったり20世紀FOXの仕事ですし、「救援隊が着いたら全員死んでいた」という展開ならライオンズゲートが得意とする所業ですからね。

とは言え、こういった映画の存在意義はこんな捻くれた考え方をする大人の為ではなく、家族で楽しむ為の、特にピクサーのアニメに慣れ親しんでいるようなお子様が実写へのステップアップの際に重要なんですね。

同じディズニー系統であっても、「銀河一速いガラクタが出る映画」や「おしゃべりなアライグマがマシンガンをぶっ放す映画」などを観せたりしたら、こういう捻くれた大人になりますからね。

お父さんお母さんが小さいお子様とご覧になって、
「どうなっちゃうの?」
「どうなっちゃうんだろうねぇ」
(ちゃんと帰れるんだけどな!)
「死んじゃうの?」
「死んじゃうかもしれないねぇ」
(主人公はきっと死なないけどな!)
と、作品と、そんな映像に夢中になるお子様の横顔を交互に余裕を持って見られる映画な訳です。

これが『バトルシップ』あたりだと、
「どうなっちゃうの?」
「ちょっと黙ってて!」
(ここからが熱い!)
とか映画嫌いへ導く状況に陥りかねない。

こういう映画は必要です。

ただやっぱり黙っていられないので言わせてもらうとですね、
「物語に起伏が少なすぎるだろ」

もうちょっとね、脚色しても良いんじゃないか。

そうかと思えば、わざとらしく車でぞろぞろ海に向かって行って、
「こうしたらいいんじゃない!」
「それいいね!」
なんてシーンでは、
「あなた方そもそもそのつもりで海に向かったんじゃないんか」
とツッコミを入れたくなる。

そんな素敵なファミリー向け映画だと思います。
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