そう

ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男のそうのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

沼のユートピア感よき。

史実を基にしているからか、ただの英雄譚になっていない。そこが良かった。エンタメにしては誠実すぎる気もしたが…

民兵を率いて世界を変えようとした英雄も、戦後はままならない現実に直面する。法律が施行されても、運用する者の意識がすぐに変わるわけはなく真の奴隷解放にはならない。投票するにも命懸け。選挙管理委員会は全員殺気立ってる笑

良くも悪くも、急激に事態を変えられるのが戦争なのだと思った。

知られざるアメリカ史ということもできるが、こういう事があったのがむしろリアルで、そりゃそうだろっていう納得感がある。つまり南部は白人の中にも格差があり、奴隷制の恩恵を受ける富裕層は貧乏人を戦争の駒としか思っていなかった。奴隷制を続ける限り、人々は搾取され続け何の権利も財産も得られない。

「黒人も貧乏な白人も変わらない」
「綿花で儲ける奴らのために死にたくたい」

北と南に分かれて戦っていても内部は一枚岩ではなく、南軍本隊に反旗を翻した反乱軍もいた。二・二六事件を彷彿とさせるところもある。何のために戦うのかという事。
先日NHKの番組でパトリック・ハーランが「アメリカ人は大義のない戦争なら反対するが、日本人は戦争自体に反対する」と指摘していた。戦わなければならない時もある。

ニュートンの率いた民兵だけじゃないと思う。しかも脱走兵で組織されていたから武器の扱いにも長けていた。田舎のアメリカ人は狩猟をやるといっても人間を撃つのは訳が違う。兵士の経験が生きていたはず。

ニュートンが何故こんな行動に出たのか。何故こんなことができたのか。彼の性格を見せていくところも上手い。すっと腑に落ちる。マシュー・マコノヒーの名演によるところも大きい。しかし彼の出演作の選び方には何か明確な意図を感じる。

放火と縛り首の場面が多い。
これが南部のやり方か…
そう

そう