おざわさん

ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男のおざわさんのレビュー・感想・評価

3.9
1860年代のアメリカ南部のプランテーション農園では、リンカーン大統領の奴隷制度廃止命令の後も黒人たちが家畜のような扱われ方をされていた。

南軍の衛生兵として従軍していたニュートン・ナイトは白人ながら、甥っ子が住んでいた農園からの物資の供出と共に徴兵されてきた上に、最前線で死んだ事を許せず、兵役を捨てて脱走します。

行き場が無くなり、行きつけの酒場の女主人に紹介されたのは、沼地に逃げ込んだ脱走奴隷たちのコミュニティ。

彼らと南軍の脱走兵たちと共に、自由の旗を掲げる反乱軍として、戦乱の世を生きていくという実在した男を描いたストーリー。

物語はその当時と並列して80年後の南部で、ニュートンと黒人女性レイチェルとの間に産まれた子の孫が、その時点においても白人ではないという理由だけで、裁判所から白人女性との婚姻が認められないという事態も捉えています。

そしてさらに南北戦争当時でえ問題は黒人差別だけじゃなく、プランテーション農園を所有する富豪たちが白人をも含めた持たざる者たちを如何に使用人として都合良く使うかというのが、問題の本質だという事を炙り出していきます。

ついこの前見た『自由への道』でウィル・スミス演じるピーターが逃げ込んだ沼で起こっていた別の側面を見ると、それぞれの作品への印象さえ変わってしまいそうだし、80年後はおろか、今だに変わっていない問題の本質を見る気がします。