Fitzcarraldo

ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

1.5
マコノヒー出演映画にハズレなしと随分と謳ってきたのだが、遂にやってしまった…そして興行的にも5000万$の製作費が2000万$しか回収できないという大赤字の踏んだり蹴ったりの有り様に…。

そもそもマコノヒーマコノヒーとワーキャー言い出すに到るきっかけとなった作品が2014年のHBOテレビで放送された“TRUE DETECTIVE”である。
全8話によるテレビドラマであるのだが、クオリティから役者陣まで完全にテレビの枠を超えているので、未見の方には是非ともオススメしたい。名演、怪演と言えば各々思い起こされると思うのだが、個人的にはヒース・レジャー版ジョーカーと並ぶ域までの怪演ぶりだと思う。

バディ役を組むウディ・ハレルソンも負けじとまた素晴らしい。この作品でハレルソンが再評価されたのでは⁉と思われる。今年度の賞レースに絡む“Three Billboards Outside Ebbing, Missouri”でのハレルソンの演技合戦も非常に楽しみである。

話が逸れてしまった…。
物語に戻す。

本作のマコノヒー…うーむ。いつも通り勿論いいのだけど…なんというかキャラクターの芯がないというか、筋がないというか…よくわからないのだ。

南北戦争で衛生兵をしているマコノヒー。ある夜に森の中で火を囲んで談笑していると、ふと小便をしようと皆の輪から外れるマコノヒー。すると森の奥から徴兵された軍から逃げ出しマコノヒー叔父さんに助けを求める甥っ子が登場する。

甥っ子の願いを快く受け入れ、俺の傍から離れるなとマコノヒー。南北戦争時代の南軍の軍規違反はどうなってるのか?ふと頭に過るも、その辺の説明や描写はないまま進んでいく。いきなり甥っ子ですなんて強引だなぁとヌルッとしたが、ここはまだいい。そりゃ守ってやれと一応は見ている側も思うだろう。

翌日なのか陽が上がり戦場の場面。流れ弾に当たって呆気なく命を落とす甥っ子。勿論、登場して間もないためマコノヒーの泣き顔を見せられても感情移入できるわけがない。もう少し、甥っ子との交流やマコノヒー叔父様との関係性を見せるべきだったのではないか…そこがやけにサラッとしているために、そのあとマコノヒーがとる行動に疑問符がついてしまう。

神妙な顔で甥っ子の遺体を家族に届けるために隊から脱けると仲間に説明するマコノヒー。ん?この人の正義はどこにあるのか?正義と悪の線引きが不明瞭である。
自分の食べ物を渡してまでマコノヒーを送り出す仲間の気持ちも、どういう心理でそうしてるのか全くわからない。呆気なく逃げ出せるし…

奴隷が20人いれば徴兵免除という法案が可決されたことに怒っている様子でもなく、金持ちの金儲けのための戦争と自覚しておきながら、なんのために戦っているのか?甥っ子の死で途端に軍を脱けるぐらいの気持ちであれば、良心的懲役拒否でもして自分の家族や甥っ子を守ってあげれば良かったんじゃないかと思ってしまう。

そもそもどんな気持ちで南軍に参加しているのか、やっつけなのか、人助けなのか、国を憂う愛国心からか、甥っ子の死は彼の中でどれほどのものなのか…マコノヒー演じるニュートン・ナイトが選ぶ行動、それを決める要因が非常に曖昧であると同時に一貫性に欠けるために常に腑に落ちない感じがつきまとう。これが共感を生まない原因である。

年末の笑ってはいけないで黒塗り浜ちゃんで物議を醸しているが、なぜ問題になっているのか分からない人や黒人問題に興味がある人にはオススメできません。

マコノヒー推しの人にもオススメできません。
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