ジミーT

愛と平成の色男のジミーTのレビュー・感想・評価

愛と平成の色男(1989年製作の映画)
5.0
この映画とどうしてもワンセットで思い出してしまう映画が、香港映画「大丈夫日記」(1988年)です。チョウ・ユンファ演ずるトレンディでモテ男のビジネスマンが、昼に夜にモテまくり、2人の女性からの求婚を断りきれずに重婚してしまう騒動と、唖然とするような結末を描いています。
一方こちらは石田純一演ずるトレンディな歯科医でサックス奏者のモテ男が昼に夜にモテまくり、海外への移住とその脱力するような結末を描いています。
女性陣もこちらがバブリーなファッションの武田久美子や財前直見だったりするなら、あちらもバブリーなファッションのサリー・イップだったりジョイ・ウォンだったり。

製作時期もほとんど同じこの2本、状況が似すぎているのですが、「大丈夫日記」は徹底的なドタバタコメディで熱い。
「愛と平成の色男」は同じコメディでも、その生活の空虚さとか主人公の心の空洞みたいなものが感じられるような描き方をしており、醒めている。だいたい「愛と平成の色男」というのも、最もバカバカしい言葉の組み合わせを考えようとして思いついたのではないでしょうか。(トレンディな外装と醒めた感覚にスコア5.0。)

熱い感覚と醒めた感覚。対極にあるこの2本。二本立て上映したら合うんじゃないかなあ。
それにしてもこの2人のトレンディなモテ男、その後どうしたかな。まだまだ現役なんじゃないかな。2人共演で、まとめて続編「愛と大丈夫の色男日記」を製作してくれないかな。

追伸1
当時、時々見かけたいわゆるトレンディ・ドラマの石田純一のカッコよさにシビれていた私は、公開初日に駆けつけました。石田純一という個性をここまで活かしきった作品はないでしょう。

追伸2
「大丈夫日記」公開当時、プロデューサーのツイ・ハークと主演のチョウ・ユンファはあの「男たちの挽歌」シリーズの全盛期だったはずで、まったく正反対のこの映画を作った才能と行動力には驚かされます。
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