近藤啓二

ゴースト・イン・ザ・シェルの近藤啓二のレビュー・感想・評価

3.0
「ゴースト・イン・ザ・ケイジ」とかそんな感じのパクリB級映画だったらまあ、良かったかも。
本家の実写化と銘打ってコレはちょっとな。

本来SFは世界観の物語で、最近はそこにドラマ性を持たせるものも多いけど、攻殻または士郎正宗作品ほど膨大な情報が盛り込まれるソリッドなSFになると、個人の内面の深い掘り下げは食い合わせの悪い情報を紛れこませるに過ぎないと思う。

現実と対比誇張された延長線的世界で起こる事件に向き合う個人、という物語ベースなのに、ここまで大幅に反転させてしまったら、うまい天丼と聞いて食ったら、中はアイスだった、よく分からない店主こだわりの、くらい違和感しかない。

例えば、金にものを言わせた救助というやり方に疑問を感じ始めた次男がうじうじ悩んで動かず、メカの活躍シーンがまるで薄いサンダーバード55を、ドラマ性が高いとか言われて納得出来るかという話。
(まあTBはTBで、既に人間で実写化というやらかしはあるが)

劇場版初アニメも自分探しの物語ではあったが、草薙素子の煩悶とは別に解決すべき陰謀の外にいて、そこでの自己探求がラストに事件とつながっていくというバランスが、とても絶妙な押井節になっていた。
(関係ないが押井監督の愛犬が出てた。監督からの必須条件らしい)

草薙素子が陰謀それ自体の主体となって右往左往しているのは、ファンに求められる「サイバー世界のクールさの下に苦悩を隠し持つ少佐という女」ではない。
ましてや反社会グループのヒッピー崩れや、おっかさんがいるとかw
なんであんな糠味噌くさいしみったれた設定つけちゃったのか。

あと、バトーも最初から原作通りで出て来なきゃw
なかなか良い目をしてた役者さんが、途中からあんなもんくっつけて、いないいないバァみたいな再登場したらギャグにしか見えんよw

攻殻が好きなんだというリスペクトは伝わるが、オリジナル作品にした方がもっと人気は出たかもしれない。

広告が溢れる社会というビジュアルだけは、ブレランの呪縛から新しいものを探ろうとする感じがあってよかった。

あとスカヨハの身体はエロい。
あまりそんなこと思う欧米人女優はいないが、スカヨハだけは何みてもほんとエロい。

あんなムッチリエロエロボディに入れてもらっといて、不満言うな素子。
アニメやとガキンチョやぞ?
近藤啓二

近藤啓二