このレビューはネタバレを含みます
ウンコです!
取り乱しました。ハリウッド版攻殻機動隊、なんというかまあ、映画としては結構好きな部類です。
【褒めパート】
欲を言えばブレードランナーとか、それこそ95年押井守監督のゴーストインザシェルみたいに古風なサイバーパンクが好きなんだけど、
ブレードランナー2049とか今作みたいに現代風のサイバーパンクな絵面も全然好きなんだよね〜〜ブチ上がるわ〜〜
いや、マジで、この映画ビジュアル面に関しては本当に申し分ない。
随所に押井守版への並々ならぬリスペクトが感じられて、ビルから飛び降りるやつだったり水辺での格闘だったり挙げたらキリないんだけど、
そういった印象的なシーンがそのまま完璧に実写になってるのは圧巻。感動。
押井守版のメインテーマ曲「謡」がそのまま使われてるのも、まあ安易だけど、敬愛を感じる。
というわけで演出・映像表現は完璧!
ストーリーもわかりやすくて一本の映画としては非常に見やすい!
と、まあ、まさにそのストーリーが問題なわけですよね。
【ダメ出しパート】
元々士郎正宗の原作があるわけじゃないですか。あれはまあなんか、漫画の皮を被った哲学書みたいなところあって、
多少思想やSFに慣れ親しんだ程度の僕ではどんなに頑張って考えても完全には理解できない部分があったりする。そこがいいんだけどね!
とはいえまあ、核になる部分っていうのは「人形使い」の話で、
簡単に説明できる部分だけでいえば
電脳化・義体化で最後に残る人間の本質(=ゴースト)とは?それが電子空間に昇華するとどうなってしまうのか?
という話題が中心でした。
これが、押井守版になると、どうなるかっていうと、
ちょっとここからは「演出・表現」「ストーリー」「思想」の3階層で分けて話させてください。
押井守版は、まずいちばん外側の「演出・表現」は原作から大きく変わります。
もちろん漫画からアニメにする以上仕方ない部分もあるけど、絵柄やら雰囲気、舞台の街並みだったり…そういうものがガラッと変わってるのは特筆すべき。
元々原作漫画の雰囲気とか演出とかっていうのは、まあ現代の僕が読んでってのもあるけど、大して画期的な感じはない。
それらを全部「画期的」なものに変えることで美的な面白さを出して、それに伴って2階層めの「ストーリー」もまとまり重視で変更が入る。
でじゃあ、核になってる「思想」はどうかっていうと、これは概ね原作漫画から引き継がれてると思う。
さっき「簡単に説明できる部分だけでいえば…」って原作漫画の核になる思想を紹介したけど、
押井守版にもその僕がなんとなく説明できる程度のエッセンスはしっかり入ってる気がします。
もちろん、たぶん漫画版には士郎正宗本人にしか理解できないような領域ってのもあるんだけど、そこを求めるのは酷だし、結局観てみんなわかんないんだから意味ないってこともあるし。
というわけで、「演出・表現」「ストーリー」「思想」のうち、「ストーリー」の半分と「思想」の半分が原作漫画から押井守版に受け継がれてる部分。
さてお待ちかね、今作ハリウッド版ゴーストインザシェル、これがどうなってるかっていうと、
まず「演出・表現」は完璧に"""押井守版から"""受け継いでる。その執念みたいなのはまあ賞賛に足ると思うし、元々原作漫画の演出とかはあまり重要じゃない(と僕は思ってる)からいいんだけど、
問題はマジで、まず「ストーリー」、これがもう跡形もなく変わってる。いやほんと見る影もないとはこのことで、
悪く言っちゃえばもう全然ありきたりで薄っペラペラの半紙みたいなクソゴミストーリーになってて…
というのは言いすぎだし、他の僕の好きな映画も結局ストーリーの普通さで言ったら大して変わんない気もするんだけど、
いかんせん原作と押井守版がよくできてるってのと、あまりにも話が180度変わってるのがさすがに気になっちゃうよね。
押井守版のカッコいい演出を全部やるっていう制約の中でストーリーを最大限変えたらこうなるのかなってくらい違います。
で、まあわかると思うけど、肝心の「思想」はもうシの字も残ってないよね。
ここをもうちょい残すなり、原作と違うにしても代わりに深めのメッセージを入れてくれれば超いい映画になったと思うんだけど、
いやもう腹立つくらいなんにも残ってないよね、「ゴーストインザシェル」もなにもゴーストの話じゃないじゃん。
あ〜〜〜〜〜!!!!!!!!も〜〜〜〜〜〜〜〜これ以上書いてもいいことない!!!!!!!!!!
観た直後は「別物として楽しめてる」気がしてたんだけど、こうやって具体的にいろいろ書こうとするともうダメだね、
もし原作が存在しなければ、あともうちょい深い話なら、最高級に好きな映画になったと思うんだけど残念でした。
とはいえでもまあ全体的な感情としては「好き」に入るので、点数はそんなに低くしないでおきます