町蔵

プティ・カンカンの町蔵のネタバレレビュー・内容・結末

プティ・カンカン(2014年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

監督:ブリュノ・デュモン
(フランス/2014年/200分/カラー/DCP/日本語字幕付)
出演:アラヌ・ドゥラエ、リューシー・カロン、ベルナール・プリュヴォスト



ブロネ地方の海岸沿いの村に住む少年プティ・カンカンは、ガール・フレンドのイヴ、仲間たちと自由に休暇を過ごしている。ある日、海岸に警察のヘリコプターが着陸し、洞穴から牛の遺体を引き出しているのを目撃する。その牛のお腹からバラバラにされた女性の遺体が見つかる。そして牛の遺体はもう一体、また一体とふえていく…。警察部長のヴァン・デル・ヴェイデンと部下のリュデュ・カルパンティエ、そしてプティ・カンカン率いる子供たちは、それぞれこの奇妙な事件を追っていく。

テレビ局アルテから白紙委任状を受けたデュモンが撮影場所でオーディションした素人の俳優たちとコメディと犯罪ものが見事に融合した傑作を生み出した。今回はカンヌ国際映画祭で上映されたのと同じ、シネマスコープ映画版にて特別上映する。
「ときに一本の映画を前にして唯一ある言葉が漏れてしまうことがある。「ありえない」と。最後にその言葉を漏らしたのはレオス・カラックスの『ホーリー・モータズ』を前にしてであった。今日、『プティ・カンカン』を前にその言葉を漏らしている。ブリュノ・デュモンのようにシリアスな映画作家がここ数年でもっとも笑いを呼ぶ作品を撮ってしまうなんて。(…)そしてまた今まで見たことがないほど素晴らしい喜劇俳優が、数ヶ月前まで庭師をしていた無名の俳優だなんて。ありえない、不可能だ、でもここに私たちが望むすべてがある」。ステファン・ドゥローム「カイエ・デュ・シネマ」

ブリュノデュモン初見
連続殺人ミステリーであるが、殺人の動機や犯人が解き明かされることはなく、村人たちの群像劇でもある。主人公は少年であるが、憲兵隊長のコミカルな演出と演技が全体を引っ張る。有名俳優はおらず、地元の素人を起用したとは思えない自然さ。フランス版デビッドリンチと言われているらしいが、これほど残酷なコメディーは類を見ない。人種、宗教、愛人問題、知的障碍者が混然一体となる。
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