アキラナウェイ

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

2.5
邦題、こんなんで委員会。

随分ととんちんかんな邦題を付けたものだ。ミルグラム博士=アイヒマンの後継者という訳ではないし、被験者達が皆アイヒマンの後継者という解釈も乱暴過ぎる。

原題"Experimenter"="実験者"というタイトルが1番しっくりくる。

1961年、イェール大学で社会心理学を研究していたスタンレー・ミルグラム(ピーター・サースガード)は何故ホロコーストが起きたのかを調べる為の実験を行う。世にいう「ミルグラム実験(アイヒマンテスト)」である—— 。

ミルグラム実験とは?

被験者である「教師」役は、解答を間違える度に別室の「生徒」役に与える電気ショックを次第に強くしていくよう、実験者(ミルグラム)から指示される。しかし生徒役は実験者と結託しており、電気ショックで苦しむフリを演じているに過ぎず、人は何処まで従順に命令に従うのかを調べる実験。*本作の字幕では教師=質問者、生徒=回答者として訳されている。

ミルグラム実験自体は興味深いものの、映画自体は、ドキュメンタリー風で少々変わった演出が目立つ。

途中途中、ミルグラム博士が第四の壁を破って画面越しのこちら側に語り掛けてくる。いわゆる古畑任三郎スタイル。

全体的に芝居臭いし、時折明らかに写真をバックにした安っぽいシーンが挟み込まれる。その意図が全くもって意味不明。

後年ミルグラムが顎髭を蓄えるのだが、それも明らかな付け髭で、リアリティに欠ける。

まるで、わざわざ「この作品は作り物ですよ」と言わんばかりの演出の数々。

この作品自体が観客の反応を試す実験か?

本作を撮影している時、監督のマイケル・アルメレイダはミルグラム本人ならこう撮影しただろうなと思いながら、なるべく自然な仕上がりになるよう心掛けたという。

え ?

ど こ が ?

ミルグラムの妻役にウィノナ・ライダー。被験者としてアントン・イェルチンやジョン・レグイザモもちょびっと出演。

人間は何処までも残酷になれる。
しかし、我々には知覚がある。
操り人形になったとしても、
自分を操ろうとしている糸には気付ける筈だ。

ミルグラムがこちらに視線を投げかけて語り掛けてくるが、その安っぽい演出が好みじゃないんだって。

こっち見んな。