ひらさま

ラスト・カウントダウン/大統領の選択のひらさまのレビュー・感想・評価

4.3
ポリティカルサスペンスの大傑作
ルメットの史上名高い「未知への飛行」とは真逆の設定
過激派による核攻撃を受けた旧ソ連
自動報復装置が作動し、アメリカへ向けて核ミサイルが発射される
何処から攻撃されよーと、取り敢えずはアメリカに向かって飛ぶ設定らしい
ワシントンD.C.は壊滅
アメリカ大統領とソ連の大統領との間で、お互い報復を繰り返して全面核戦争に突入するか、アメリカは報復を控え核戦争への突入を回避するか
そんな重要な決断を迫られる最中、アメリカの大統領を乗せたヘリが墜落し大統領は行方不明に
次の大統領に任命されたのはタカ派で功名心のみ高く無能な国務長官?
継承順位は下だが途中の人たちが行方不明やら死んじゃったりして運良く?まさかの大統領に
器じゃない彼は取り巻きのタカ派連中に煽られた事もあり報復攻撃に踏み切る
そして核爆弾を搭載したB52をソ連本土へ向かわせる
しかし行方不明の大統領は生きていた
大統領は何とか攻撃を中止させようとするが、既に命令する権限もないばかりか、自らを証明する術すらない
果たして世界は核の炎に包まれるのかぁ!?
このスリリングなお話に決着をつけるのは、いわば個々の倫理観でありヒューマニズム
最終的にはそれぞれが個々の判断によって最悪の事態は回避される
驚かされたのはラスト
暴走した新大統領を止める為、米軍の管制機がエアフォースワンに体当たりする
ところが管制機の乗組員たちは、これから死ぬにも関わらず、全く動じる事なく淡々と冷静に事を運ぶ
あたかも、ちょっと一仕事してくるか、って感じで
訓練された軍人の凄さとある意味恐ろしさを感じました
本作はHBO製作のテレビ用映画ですが、劇場公開を切望するレベルの出来映え
レベッカ・デモーネイが爆撃機のパイロット、マーティン・ランドーが苦戦する大統領、ジェームス・アール・ジョーンズが管制機の司令官を演じていて頼り甲斐抜群でした
なかなかA級にはなれなかったジャック・ショルダー監督にとっては、「ヒドゥン」を超える代表作だと思います
過去に何度もビデオを借りて繰り返し観た記憶あり
DVD化は遥か昔から望んでいるのに未だ叶わず