イチロヲ

ラスト・カウントダウン/大統領の選択のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
ソ連による核攻撃の実行を受けて、アメリカ新大統領が報復攻撃を選択するのだが、穏健派の前大統領と空軍パイロットに気持ちのぐらつきが生じてしまう。ウィリアム・ブロクノー著「十五時間の核戦争」を映像化している、社会派サスペンス。

先発の核攻撃を受けてからの「報復するべきか?」の部分に焦点を当てている作品。テレビ放映用のため、大統領周辺とB-52機内の密室劇が主軸になっている。なお、日本国内では、かつてVHSソフトがレンタル屋の定番商品となっていた。

ボタンを「ポチッとな」するだけで、負の連鎖が人為的に作られてしまう恐怖。そして、その逼迫した状況を実感している人間たちの逡巡と動揺。B-52機内の男女パイロットのシークエンスを、恋愛ではなく友情の方向へと持っていくところが心憎い。

物語自体は荒唐無稽であり、浮世離れの感が否めない。「こんなことリアルでやるわけないよね」と我に返ってしまう自分がいるけれども、人間ドラマで描かれている精神性は本物。安全保証に関わっている、お偉いさんの必修科目として取り入れるべき。
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