オンライン上映会のお題にて鑑賞。
本作がリメイクされてオスカーを獲った「コーダあいのうた」も全員未見という中で、評価が結構割れたのが面白かった。ちなみにボクのスコアは真ん中あたりだった模様w
聴覚障害者の両親のもとに生まれた少女が、家での酪農の仕事や家族との軋轢にモヤりながらも、歌うことに希望を見出していくお話。
この聴覚障害者の描き方については、実際には健常者が演じていてケシカランだの、手話がめちゃくちゃで字幕なしではワカランだの散々な言われようだったらしいけれど、健常者であるボクの目には極めてフラットに、ごく普通のイカれた家庭として(聴覚障害ゆえのおかしさではなくて、よくある風変わりな家族像という意味で)描かれていたのは好感が持てた。
もしかしたら障害のある当事者の方々からすると、こんなことはありえ無いぞということなのかもしれない。あるいは聴こえないことのオーバーな表現やコメディタッチが不謹慎ということかも。でもこうした表現を笑ってこそと思うんだけれど、違うのかなぁ。
それよりも観ている途中、根本的に「聴覚障害」と「歌」という相反するような題材を組み合わせたことのほうがよほど不自然に思えた。これ、映画を見ている難聴やまったく聴こえない方に響くんだろうか?観てて面白いものなんだろうかと。
ところがクライマックスで、その答えとなるべき仕掛けが用意されていた。
映画には音楽が不可欠で、歌や楽曲の良し悪しで映画の評価も大きく変わる。これまで長年、音楽がなければ映画の楽しみも半減する、くらいの認識で映画を観てきたけれど、それもあっさりと裏切られる演出。
音なんて聴こえなくても、ちゃんと伝わるものがあり、実際観ていて知らぬ間に涙ぐんでいた自分がいた。これはちょっと予想外の出来事だった。
過剰なまでの下ネタオンパレードなど、毒々しい場面が多々あるのもフランスらしいと言えばいかにもフランス。コンパクトなサイズで笑えて泣けて、盛りだくさんに楽しませてくれる良品。
だがなぜだろう、これを観ると「コーダあいのうた」を観る気が失せてしまったw