ケンジモンデン

エール!のケンジモンデンのレビュー・感想・評価

エール!(2014年製作の映画)
4.7
聴覚障害を持つ父・母・弟と、家族で唯一耳が聞こえさらには天性の歌声を持つ娘。なんて皮肉な運命なんだろう。

「ベリエ家」という原題どおり、娘ポーラを軸に描かれつつも本当の主人公はこの家族そのものなんだと思います。
この家族は一体どうやって生活しているのか、どうコミュニケーションを交わしているのか、周りとの関係やそれはもうシモの方まで笑、実にコミカルに描かれていて、中盤からどんどん引き込まれていく。

そんな家族がぶつかり合うシーン。その立場になったことはないけど、聴覚障害があって、耳の聴こえる娘が生まれて、きっと測りしれない悲しみも苦難も持ち前の明るさと勢いで乗り越えて来た両親にとって、娘が自分の人生を生きることは、どんなにどんなに自分の娘相手でも羨ましくて悔しくてどうしようもなかったんだろうなぁ。耳が聞こえないハンディ・感情を素直に表現してるところは個人的にはむしろ好感を持った。人間だもの。あと弟には別に男として同情。

だからこそ、ポーラの最後の歌声は、ベリエ家にとっての応援歌=エールになっていたのかなと思う。旅立ちの歌ではあるけれど、いつだって私たちは家族だということが一番のメッセージだったんじゃないかな。
素晴らしい歌声はもちろん、彼女の家族への想い、自分の人生への想いが溢れるほどに詰まっていて、ほんとに「マドモアゼル、いい選曲だった。」先生もナイス。号泣。

最後の彼女の解放感にも似た表情がなんとも印象的。
ルアンヌ・エメラ、今後に期待ですね。


p.s.
歌のトレーニングが随所で出てきますが、とても効果的な練習法なのでぜひおすすめです。笑