eri

ガジニ(原題)のeriのレビュー・感想・評価

ガジニ(原題)(2008年製作の映画)
4.5
こんなお話:
医学生のスニーター(ジア・カーン)は、脳の研究のために前向性健忘症であるサンジャイ・シンハーニア(アーミル・カーン)のデータを検索しようとするが、担当教授に刑事事件に関わるとしてやめるよう指示される。スニーターは独自にサンジャイに接触を試みる。
サンジャイは15分毎に記憶を失うが、写真やメモ、自身へのタトゥーにより、自身の使命を見失わないようにしていた。即ち、愛する女性・カルパナー(アシン)を殺害したガジニ・ダーマトマ(プラディープ・ラワット)への復讐である。
サンジャイはかつて大手通信会社エア・ボイスの社長で飛ぶ鳥を落とす勢いに乗っていた。カルパナーは売れないモデルで、ひょんなことから自分はサンジャイ・シンハーニアの恋人だと吹聴する。会ったこともないのに!と抗議するため、売れない俳優サチンと偽ってカルパナーに接触したサンジャイは、彼女の弱者に対する優しさや明るさに次第に惹かれていった。

良かったところ:
物語の描き方は緻密で、サンジャイの生き様をつぶさになぞるかのよう。彼の幸せ絶頂とそれを粉々に破壊されるシーンのコントラストはキツすぎて鑑賞後は重々しい気持ちになること間違いないでしょう。
サンジャイ役アーミルの筋骨隆々な肉体は素晴らしい。"Fanaa"の後で撮ったのがコレだそうですが、肉体改造の鬼か?カルパナー役アシンはどうしたって可愛いです。ありがとう、可愛い女は可愛い。
なお映画の構成は複雑です。
現在(2008年)のスニーター視点、サンジャイ視点、ガジニ視点、サンジャイを追う刑事視点に加えて
過去(2006年)はサンジャイの日記なのですがサンジャイ視点、カルパナー視点、ガジニ視点が入り混じって物語が進みます。
カルパナーが死ぬことは最初からわかっているのに、心優しくアクティブな彼女が生き生きと映画の中を駆け回る様は見ていて結構ツラい。
過去のサンジャイもまた、仕事一筋から彼女に惹かれていくところは、現在のやつれ切った彼を見た視聴者には終わりの近い幸せを追うようでキツいところがあります。

もう少し!なところ:
話が丁寧なのはいいですが、端折ってもよかったかもしれません。長く複雑なストーリーは一度の視聴で完全に理解するのは困難です。私は3回観てやっと全体像を把握できました。
ただ、さすがアーミル・カーン主演作といったところ。社会派の作品とも言えるでしょう。
タミル映画のリメイクだそうですが、アーミルがメガホンを取ることはなく主演のみとなったのは少し残念かな。
スニーターはキーパーソンなのだからもう少し目立ったほうがわかりやすいと思います。
eri

eri