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みかんの丘のyoko45のネタバレレビュー・内容・結末

みかんの丘(2013年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

 たとえすべてが違っていても、誰かを、何かを敬う気持ちが胸の奥に宿れば争いは避けられる。でも「なにも違わない」のだと気づくまでになんと時間のかかることか。
 兵士たちは仲間を失い、自らも生と死の間をさ迷い、同じ屋根の下の敵兵を全く違う異物とみなす。でも過去に息子を戦争で失なった老人にとってはなにも違わない。
 
 老人イヴォの表情が素晴らしかった、とくに助けた兵士ニコとの会話でみせた笑みがとても良かった。その兵士ニコを息子の墓の隣に埋葬し、もう一人の兵士アハメドとの別れ際の表情も。

 なにも違わない、犠牲を伴う前にこの境地にたどり着けないか、そう思わせてくれる作品です。


「あらすじ(岩波より)」
 ジョージア西部のアブハジア、エストニア人が昔から住む集落。ジョージアとアブハジア間に紛争が勃発、多くのエストニア人は帰国したが、みかん栽培をする二人の老人イヴォとマルガスは残っている。マルガスはたわわに実ったみかんの収穫が気になるからだが、みかんの木箱作りのイヴォは本当の理由を語らない。
 ある日、彼らは戦闘で負傷した二人の兵士をイヴォの自宅で介抱することになる。ひとりはアブハジアを支援するチェチェン兵アハメド、もうひとりはジョージア兵ニカで敵同士だった。彼ら同じ屋根の下に敵兵がいることを知り、互いに殺意に燃えるが、イヴォが家の中では決して戦わせないというと、兵士たちも命の恩人の言葉に従う。イヴォの手厚い介抱によって彼らはしだいに回復してゆくとともに、敵兵に人間として関心を深めてゆく。

(メモ)
この作品が動画配信で観れてしまうとは
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