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みかんの丘のturkeyのレビュー・感想・評価

みかんの丘(2013年製作の映画)
5.0
ジョージアに於けるアブハジア紛争。
日々、戦場が近付くなか出稼ぎ移民のエストニア人、イヴォとマルガスはみかんの収穫の為居残っていた、ある日イヴォの自宅前で遭遇戦があり敵同士の二人を助け自宅で養生させる。いきり立つ二人にイヴォは「この家の中で人殺しをするのは認めない」と二人に宣言し二人も恩義からそれに従い、やがて互いが自分と変わりない人間である事を知る。
つまり、この家は「神の家」を象徴してるのかもしれない。
アハメドは名前からして明確にムスリム、ニカは食事前祈らないけどキリスト教か、もしくは無宗教。(この地域は日本に似て宗教感覚が薄いらしい)
 只、家の庭先は神の力の及ばぬ所だった、そこは悲しいかな愚かな人間の世界。
ラスト、
「これが俺だったら同じ場所に埋めてくれるのか」
「少し離れた所にな」
この台詞に僕は、現世の超え難い民族・宗教の壁を感じてしまいました。
静かに人間の愚かさと善性を訴えてくる佳作/秀作だと思います。

※OP或いは途中に挟まれるイヴォのマルノコ盤による板の切断シーン、民族、土地、言語、宗教による人と人との分断を暗喩してるのかな、登場人物が少ない分、寓話性を感じました。
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